大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

なぜ、「親と向き合うこと」が大切なのか?

カウンセリングのなかで、よく両親との関係性がテーマになることがあります。

親と向き合うことの意味と、その恩恵についてお伝えします。

1.「投影を取り戻す」とは

昨日の記事では、「投影を取り戻す」というテーマでお伝えしました。

「投影を取り戻す」ことで、自分の感情を自覚できるようになる。 - 大嵜直人のブログ

「投影」とは、私たちの内面にある感情や観念といったものを、外の世界に映し出します。

悲しい気持ちを抱いていれば、周りの景色は悲劇の舞台のように感じられます。

心のなかに寂しさがあると、道ゆく人がみな孤独に見えたりします。

また、自分が過去に出会った人を、いまの目の前の人に重ねて見たりもします。

あるいは、自分のなかの観念や思い込みといったものを、周りの世界に映し出します。

「この世は薄情で、誰も他人のことなんか気にしていない」という観念を抱いていれば、そうしたことばかりが目に付くのでしょう。

こうした「投影」は、なかなか自分で気づくことが難しいものでもあります。

しかし、この「投影」の視点を使うことは、私たちに実に大きな恩恵を与えてくれます。

その一つが、自分の感情とつながることができる、というものです。

私たちは、自分の感じていることを、なかなか自覚することが難しいものです。

それは意図的にそうしている場面もありますが、無意識的に感情を抑圧してしまうことも多いものです。

そして、感情を抑圧している、その抑え込む方にエネルギーを取られてしまい、無気力になってしまったり、あるいは抑え込んだ感情が暴発してしまったりと、あまりいい影響をもたらしません。

しかし、「投影」の視点は、自分がどんな感情を抱いているのかを知る手掛かりにできます。

周りに寂しいできごとばかりが起きるとき、それは自分自身のなかにある「寂しさ」を映し出していると見ることができます。

そうすると、思考が「寂しさ」という感情を認知することができ、自分の感情とつながることができます。

これが、「投影を取り戻す」というプロセスと、その恩恵でした。

2.パートナーシップは代理戦争?

さて、「投影」は無意識にしてしまうものとは、先ほどお書きした通りです。

それゆえに、なかなか自分では気づきにくいものです。

過去に出会った人を、いま目の前に「投影」するというのも、非常によくあることです。

たとえば、いま付き合っているパートナーに対して、過去に別れたパートナーを重ねてしまうといったことは、誰もが経験することではないでしょうか。

いまのパートナーからすると、とばっちりもいいところですが笑

しかし、そのパートナーもまた、同じように自分に対して、過去のパートナーを「投影」していることが多いものです。

「パートナーシップは代理戦争」といわれるゆえんでもあります。

二人の間の問題のように見えて、その実、パートナーの後ろに、過去のパートナーを背負わせて対決しているようなものです。

以前に付き合っていた相手が、すごくわがままで、いつも自分が合わせていたのが不満だった。

その不満を、いまのパートナーに映し出すわけです。

そうすると、ほんのささいなことで、「もう!めちゃくちゃわがままだな!」と腹が立ったりするわけです。

ほんとうに腹を立てている相手は、いまのパートナーではなかったりする。

だから、パートナーがどれだけ譲歩して、合わせてくれたとしても、その不満はなくならなりません。

その元パートナーへの不満は、その前の元々パートナーへの不満だったりします。

そして多くの場合、それを突き詰めていくと、自分の親に行きつくものです。

3.「親と向き合うこと」の意味

カウンセリングでは、親との関係性を見ていくことがよくあります。

パートナーシップの問題だったり、仕事やお金の問題であっても、親との関係性にフォーカスしたりします。

それは、いまのパートナーや、仕事そのものが問題なのではなく、それに「投影」している根源と向き合う、といった意味があります。

そして、私たちの人間関係や社会関係、あるいは観念や思い込みといったものは、その多くが親から引き継いでいるものです。

人間関係であれば、親に対して感じていた感情を、親しい人に「投影」します。

あるいは、親との関係性をパートナーシップで再現しようとします。

親が仕事に対して、どういった向き合い方をしていたかを、無意識的にコピーしようとします。

お金に対する観念も、同じですよね。

もちろん、それがいまの自分にフィットしているものであればいいのですが、そうじゃないものもありますよね。

いまの自分に合っていなければ、それを取捨選択していいはずです。

親と向き合うことは、自分自身が無意識に「投影」しているものをあぶり出してくれます。

そして、それらをもう一度選び直すという恩恵を与えてくれるものです。

だからこそ、カウンセリングのなかでも重要なテーマになることが多いものです。

今日は、なぜ親と向き合うことがなぜ大切なのか?というテーマでお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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