風薫る、とはよく言ったもので、吹く風が実に心地よい季節になりました。
時候は「穀雨」。
時に降る雨は、どこかやさしく、そして地上の植物を愛でてくれているようです。
路傍のツツジは、いまが盛り。
実に豊かな色合いで、道行く人の目を楽しませてくれています。
今年は、少し咲くのが早かったようにも感じますが、それでも、やはりこの4月5月の連休のあたりに、その彩りを見せてくれているようです。
七十二侯では、「霜止苗出(しもやみてなえいずる)」。
気温が上がって霜も降りなくなり、苗が育つころ。
田植えの準備を始めるころでもあり、いろんなことが活発に動き出すころでもあります。
もうすぐ「牡丹華(ぼたんさく)」、牡丹がその大きく美しい花を咲かせる時候であり、それを過ぎると、もう「立夏」。
暦の上では、夏に変わります。
もう夏かと思うと、どこか切なくもなるのは、私が夏生まれだからでしょうか。
季節の移ろい。移り変わり。
それを感じるもので、一番に挙がるのは「気温」でしょうか。
この時期は、どんどん気温が上がっていき、春から初夏へと変わっていくことが感じられます。
他には、空の色や、風の薫りであったり、あるいは夕闇が訪れる時間があるでしょうか。
そんななかでも、今日特に感じたのは、陽の光の色です。
夜の間に降った雨のしたたるツツジを照らす、この光の色。
透き通っていながら、それでいて力強さを内包しているような。
この初夏に移り変わる時期ならではの、陽の光の色のように感じます。
春のはじまりのころには、どこかぼんやりとしていたその色が、はっきりとした意思を纏ったような、そんな感じがします。
それにしても、季節の移ろいを感じるというのは、私たちの五感を刺激してくれるようです。
目に映る、空の色、木々の葉の色、あるいは月の表情。
耳に聞く、鳥や虫の声、雨の音。
口にする食材の変化。
肌で感じる、その日の気温や、風の肌触り。
あるいは、薫る風、花の香りの変化を、楽しむこと。
いずれも、五感をフルに使うものですよね。
私たちは、自分とのつながりが切れると、さまざまな問題を引きおこすようになります。
自分とつながる。
その最も根源になるのは、いま、自分が感じていることを、そのままに受け入れることでしょうか。
忙しかったり、自分以外に目が向いていると、どうしても、そうした自分が感じていることを後回しにしたり、無視したりしてしまうものです。
自分がいま、何を感じているのか。
季節の移ろいを感じることは、それに注目させてくれるようです。
さて、あなたの今日は、どんな季節の移ろいを感じさせてくれるのでしょう。
ぜひ、ほんの少しの時間でもいいので、その感じたことに意識を向けてみてください。
あなたの今日が、彩り豊かな日でありますよう。