誰かに与えようとすることは、私たちに大きな恩恵を与えてくれます。
しかし、それが他人が主体になってしまうと、なかなか続かないものです。
与えることを続けるためには、どうしたらいいかについて、考えてみます。
1.与えることで、癒される
昨日の記事では、与えて抜ける、というテーマでお伝えしました。
自分がしんどいときほど、与える意識を持つと抜けることができる。 - 大嵜直人のブログ
「与える」と「受けとる」。
心の世界で、とても重要なテーマです。
一般的なイメージですと、手元に「ある」から、「与える」ことができると考えるものですが、心の世界ではそうとは限らないようです。
不思議なことに、与えるほどに豊かになるということが、心の世界では往々にしてあります。
そして、自分がしんどいとき、苦しいときほど、それは顕著なようです。
自分が苦しいとき、どうしても視線は自分の内側に向いてしまいがちです。
自分の痛みや苦しみ、あるいは寂しさや悲しさ、悔しさ。
そうしたものに、ずっとフォーカスしてしまって、なかなかそのループから抜け出せなくなってしまったりします。
しかし、「与える」という意識は、その視線を外に向けさせることができます。
この人を喜ばせるために。笑顔にするために。
そうした意識を持っていると、自分の苦しみや痛みを忘れてしまったりした経験が、誰にでもあるのではないでしょうか。
心の世界では「与えて、抜ける」と言われたりしますが、それだけ「与える」ことの恩恵は大きいものです。
ただ注意しなくてはいけないのが、視線を外に向ける分、いつの間にか他人が主体になってしまいがち、という点でした。
最初は自分の喜びのなかでしていたことでも、気づくと犠牲や期待、あるいは取引といった心理になってしまうことは、ほんとうによくあるものです。
「与える」ことで疲れていないか、自分が枯れていないかには、注意した方がよさそうです。
2.犠牲や取引から与えても続かない
こうした自分が疲れてしまう、枯れてしまう「与える」行為は、ほんとうによくあるものです。
それは、自分のことよりも、他人を優先してしまうような方や、生粋の「与えたがり」の気質を持つ人に、多いものです。
あとは、自己評価が不当に低くて、与えていないと自分の価値を実感できない人も、それに当てはまるでしょうか。
はい、書いていて「自己紹介かな?」と思いましたが、たぶん気のせいなのでしょう笑
心理的には、犠牲や取引といった心理が、この「偽りの与える」に当てはまります。
犠牲とは、文字通り自分を犠牲にして、誰かのためにすることです。
それは美談のように聞こえますが、結局は誰も幸せにしないんですよね。
犠牲にしている分、自分は傷つくし痛いものですし、その分、受けとる相手は罪悪感を覚えます。
すると、与える側は「こんなにしているのに」という不満や怒り、受けとる側は「あんなにしてもらって申し訳ない」という罪悪感にまみれてしまいます。
そうすると、なかなか長くは続けられないですよね。
取引とは、「これをしたから、あれをちょうだい」という交換条件を相手に突きつけるものです。
要は、何かをもらえることを期待して、相手に与えようとする行為ですね。
この取引から与えることも、なかなか長く続けることは難しくなります。
与える側は、期待したリターンがもらえなかったら不満を抱きますし、受けとる側は敏感にその期待を感じてしまって、受けとりづらくなります。
これ、受けとる側は、敏感に察するんですよね…ほんと。
「与える」こと自体はすばらしいことなんですが、こうした犠牲や取引といった心理がはたらくと、どうしても自分も相手も苦しくなってしまうものです。
3.自分が与えていることのセルフチェック
ただ、だからといって「犠牲や取引から与えるのは、絶対にあかん!」と言いたいわけではないんです。
いつも100%純粋に「与える」ことなんて、それこそ聖人君子でないとできないように思います。
だって、私もあなたも、いつも不完全で、未熟で、不純で、腹黒い、ニンゲンなんですから。
あ、腹黒いはいいすぎですかね笑
だから、「純度100%でないと与えてはいけない!」なんて、思わないことです。
それは、かえって自分を苦しめるだけですから。
むしろ、「純粋に与えられる」ことの方が珍しい、くらいで思っておいた方が、いいのかもしれません。
ただ、先に挙げた犠牲や取引といった形で与えていると、自分がしんどくなってしまうのもまた事実ですから、折に触れて自分がどんな形で「与えて」いるのか、振り返ってみることは、大事なことだと思います。
そこで「あ、また犠牲しちゃってるな」と気づいたら、次から修正すればいいんです。
次のポイントで、チェックしてみてはいかがでしょうか。
- その行為が、自分にとって喜びからなのか
- その行為で、自分は疲れていないか
- 相手の反応が、気になるか
- この先もずっと、その行為を繰り返していけそうか
いずれも、白か黒か、0か100かのような、デジタルな答えにはならないと思います。
白よりのグレーだったり、56点だったり、実にあいまいな答えになるかもしれません。
「うーん、ちょっと疲れるなぁ」とか、
「前よりは相手の反応は気ならなくなったけど、それでもまだ気にしてる部分はあるかな」とか。
それで、いいんだと思います。
無理矢理に、自分の心を白か黒か判断したり、理想の答えに当てはめたりするよりは、そのあいまいな状態を、そのままに認めることが、大切なことです。
それが、自分の心の声を聞くことであり、自分を受け入れることであり、自分に正直になる、ということなのでしょうから。
たとえ、犠牲であっても、取引であっても。
あなたが与えようとしたこと、それだけは否定しないでほしいな、と思うのです。
今日は、与えることを続けるために、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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