誰かに何かを与えられるのは、たくさんのものを持っているからというのが、普通の見方です。
しかし心の世界では、与えることで、もっと多くのものを得ることがあります。
1.悩みの意味が変わること
先日の記事では、才能を自覚すること、というテーマでお伝えしました。
自分の才能を知ることで、苦しみの意味を変えられる。 - 大嵜直人のブログ
私たちは、自分のことは自分が一番分かっていないものです。
特にそれは、自分の魅力であったり、才能であったり、そうしたものについては顕著です。
そして、それゆえに思い悩んだり、苦しんだり、問題を抱えたりします。
しかし、自分に厳しい分野は、それだけ自分自身の才能がある分野と言えます。
それは言ってみれば、「これくらいできて当たり前」の水準が、異常に高い部分です。
そのメガネで自分を見てしまうから、どうしても自分に対してダメ出しが多くなってしまうわけです。
こうした視点で見てみると、何に対して悩み、心を痛め、何を問題としてきたのかは、実に正確にその人の才能を指し示してくれます。
だから、自分自身を知ること、自分の才能を自覚することは、とても大切なことというのが、先日のテーマでした。
しかし、同時にそれを自覚したからといって、悩みや苦しみがまったくなくなるわけではない、というのが昨日の記事のコアな部分でした。
「自分の才能はこれだったのか!よーし、もうこれからは悩まないぞ!」とは、ならないわけです笑
どちらかといえば、「えぇ…やっぱりそれか…うーん、そうか…」というように感じることの方が、多いように思います。
ただ、自分の才能を自覚することによって、悩みや苦しみの意味が変わります。
「自分一人だけの悩み」から、「誰かに与えるため」という方向に変わるわけです。
2.与えることと癒されること
与えることを考えるとき、私たちの苦しみや悩みの意味が変わる。
しかし、誰かに与えることをイメージするとき、私たちは「たくさんあるから、与えられる」と感じます。
大金持ちだからこそ、お金を出せる。
今年はいっぱいりんごが収穫できたから、近所におすそ分けできる。
そんなふうに。
もちろん、物理的に考えると、それは正しいのかもしれません。
「ない袖は振れぬ」とも言いますしね。
そして、その延長線上からでしょうか、「癒されているから、与えられる」と感じることも多いものです。
その手に何かを与えられてから、誰かに与える。
そうした順番は、実に普通なものです。
しかし、こと心の世界では、実に不思議なことが起きます。
「与えるから、たくさんある」
「与えるから、癒される」
というように、その順番が逆になることが、往々にしてあります。
というか、それが「与える」ことの本質的な意味ではないかと思うのです。
もし、与えても自分が枯れていくように感じるのであれば、それは犠牲や取引といった心理が働いているのかもしれません。
ほんとうに純粋に「与える」ことができたとき、「受けとる」ことが同時に起きて、こころが満たされるものです。
「いやいや、こっちが御礼を言いたいくらいです!」とか、
「手伝わせてくれて、ほんとうにありがとう!」とか、
そんな気持ちになったことは、ありませんでしょうか?
あんな感じです。
言葉で書くと、「与えるのに受けとる?」とか矛盾しているように聞こえますが、感覚的には、誰でも経験したことがあるのではないでしょうか。
3.与えるときに、傷もまた癒される
さて、そうした「与える」ことができたとき、私たちは大いに癒されます。
自分が癒されてから、与えるばかりじゃないんですよね。
(もちろん、その順番になることもあるのでしょう)
与えることで、癒される傷もある。
というか、そちらの方が多いように思います。
しかし、繰り返しになりますが、与えているのに自分が枯れたように感じたり、モヤモヤしたりするのであれば、それは犠牲したり、期待ししてしまっている可能性があります。
もちろん、それが悪いことではありません。
純度100%で与えることなんて、なかなかできないものですから。
ただ、与えようとしたそのことだけで、自分をねぎらってもいいのではないかと思うのです。
誰かに与えようとするとき、それはその人の持っている光が、美しく輝くわけです。
「どうやったら、あの人に喜んでもらえるだろうか」
「なんとかして、彼の笑顔が見たい」
その方法は一つではなく、きっと無限にあります。
そのなかで、何を選んでいくかに、その人の個性であり、その人らしさであり、パーソナリティが表れます。
その過程で、「あぁ、自分はこんなことが好きなんだな」「こんなことに、心が躍るんだな」といったように、自分の才能を自覚することができます。
与えるときに、傷もまた癒される。
心の世界の、不思議なパラドックスのようです。
今日は、与えるから癒される、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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