先日、「尾張温泉東海センター」の湯に浸かってきましたので、今日はその訪問記を。
愛知県下で唯一「名湯百選」に選ばれた名湯で、名古屋にほど近い蟹江町にあります。名古屋から行ける温泉というと岐阜の下呂温泉や三重の湯の山温泉が有名ですし、少し足を伸ばすと長野県や石川県もギリギリ日帰り圏内ですが、こんなに近くに本格的な温泉があるのはありがたい限りです。
私は以前にここに宿泊した記憶があるのですが、平成25年1月から宿泊・演芸を終了しており、現在は日帰り入浴施設のみとなっています。宿泊施設があった頃は、大相撲・名古屋場所での先代二子山部屋の常設宿だったそうです。あの若乃花や貴乃花もここに宿泊されていたそうで、歴史を感じさせてくれます。
湯上りの至福の時間のために、今回は車ではなく公共交通機関で訪れることにしてみました。
近鉄名古屋駅からスタート。
名古屋駅はもう年末の雰囲気を醸し出しており、気忙しい感じがします。
急行・松阪行に乗って10分ほど。
ウトウトする暇もなく近鉄蟹江駅に到着しました。
のどかな住宅街が広がっています。
ホームページの案内では、「タクシー7分」の他に「お散歩バス(無料)」も出ているとのことでしたが、時間が合わなかったので徒歩で尾張温泉へ向かいます。
線路沿いをテクテクと西へ。途中で蟹江川とやらを渡ります。
途中、部活動に行く中学生が自転車で私を追い越していきました。背負ったナップサックは、25年ほど前に私が使っていたものと同じデザインでした。
郷愁を覚えるとともに、25年も変わらぬデザインで採用されているとはモリカケもびっくりのりけ・・・いや、何でもありません。
さて、橋のあたりは周囲にまったく建物がなく、北風が強いです。この地方の冬は、北西の伊吹山の方角からの強い季節風「伊吹おろし」があるのを数十年ぶりに思い出して、徒歩を選択したことを軽く後悔します。
この地名は、かの源義朝公が平治の乱で大敗を喫して東へ逃げ延びる際に、わずかな休息を取った島だったことから来ているそうで、源氏とゆかりがあるようです。近くにあった源氏八幡社という神社の看板に書いてありました。徒歩で歩くと、いろいろ発見がありますね。
寄り道したり、若乃花関・貴乃花関の「足形」がついた歩道などを通って、ようやくたどり着きました。所要時間は蟹江駅から30分強といったところでしょうか。
それにしても、昭和を感じさせるレトロな外観です。
正面玄関に回ると、どうも人影が少ないようです。
ん?そこまでさびれているのか・・・?と思っていた私に、衝撃的な事実が判明します。
んー、午後1時から。
現在時刻、11時40分・・・
日帰り温泉だから朝からやっているだろうという私の思い込みを呪います。周りには病院と釣り堀、駐車場、田んぼ。ここまでの道のりにスーパーはありましたが・・・
さてどうしたものかと思っていると、玄関の隣に待合室がありましたので、そちらで待たせて頂くことにしました。そうこうしていると、12時を過ぎたあたりから一人、また一人と高齢のお客さんが待合室に入ってこられ、12時半には満員になります。どうやらここは近所の紳士淑女のサロンのようです。
「おめさ、やっとかめ(このあたりの方言で久しぶりの意)やね、生きとったんけ」
「わしんとこ明日で仕事納めやけんど、あんたんとこはいつやね?」
「今年は鱈の白子がまったくスーパーで見かけんわいね」
まだ仕事納めしていない方が、なぜこの時間に温泉に来ているのかというツッコミを入れたくてうずうずしながらも、アウェー感満載の待合室を寝たふりとブログを書くことで乗り切ります。
そんなこんなで、ようやく開館。
演芸があった時代の名残を感じる玄関です。
靴をコインロッカーに預けて入館すると「しま〇ら」に来たと錯覚するような風景がお出迎え。外観のみならず、入ってからも昭和の香りがして思わずニンマリします。
さらに何とカセットテープのワゴンセールも。カセットテープを再生するオーディオの方がレアになったような気がしますが、ラインナップもまたザ・昭和です。同時に九州フェアも開催されており、触手が伸びそうになるのを我慢してチケットを買い求め、湯船に進みます。一人620円でした。
湯船の風景はさすがに写真が撮れませんでしたのでホームページを参照して頂きたいのですが、とにかく広い!そして露天風呂、サウナ、水風呂、打たせ湯、ぬるめ・あつめの温度が選べるなど、素晴らしいお湯でした。
源泉かけ流し、再生・還流いっさいなし、毎日湯の総入れ替えを行うなど「湯に自信あり」の温泉でした。私も気持ち良すぎてついつい長湯してしまい、少々湯あたりしてしまいました。
さて入口すぐにはこんな素敵な畳のスペースが。湯からでると、湯上りでほっこりした方たちが、打ち上げられたアザラシのようにごろごろしながら瞑想をしていました。
私もしばしごろんと横になって目を閉じてみました。
至福の時間です。
さらに至福な時間でゆるゆるになるべく、黄色い泡の液体を。
湯上りの体に染み渡ります。30分かけて歩いて来た甲斐がありました。
さようなら、尾張温泉東海センター。
いいお湯でした。また来ます。
名古屋から至近の距離にある名湯。
ぜひお客さまも機会がございましたら、訪れてみてはいかがでしょうか。
レトロな香りと、素晴らしいお湯がお出迎えしてくれることと思います。
さて、今年もあと2日になりました。
どうぞ、ごゆっくりお過ごしください。