大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

いつか、ジグソーパズルのピースのように。

いまは分からなくても、それはいつかあなたの中でぴったりと嵌る時がくる。

いつか、ジグソーパズルのピースのように。

40を過ぎて、自分の人生のピースが一気に嵌っていくように感じるの。それは、子ども頃から好きだったことから、いままで重ねてきた嬉しいものから悲しいものまでいろんな経験から、これまでやってきた仕事…まったくバラバラで無関係だった事柄が、パズルのように全部ぴったりと嵌っていくように感じる。

少し紅潮した顔で、私の敬愛する方が語っていたのを覚えている。

人生のピース。

まったく無関係に思っていたことが、後になって「このピースは、ここに嵌るんだ」ということが、起こるのだろう。

それは、ピースの数が一つや二つで起こることではなくて、一見、無関係なようなバラバラのピースがたくさんあってこそ起こる。

そして、この人生というジグソーパズルの面白いのは、「完成した図柄を誰も知らない」ことに尽きるのではないかと思う。

そう、あなたも、私も。

先週末に娘と久しぶりにジグソーパズルで遊んだが、「こぐまちゃんとほっとけーき」や「魔法つかいプリキュア」の完成した図柄が分かっていればこそ、一つ一つのピースのだいたいの位置のあたりをつけて、図柄をはめ込んでいく。

ところが、人生というジグソーパズルは、そのピースに絵柄がついていない。

そのピースが、どのあたりでどのピースとくっつくのか、誰にも分からないのだ。

かのスティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学の卒業生に向けたスピーチの中で「三つの重要なこと」を述べた。

一つ、点と点を繋ぐこと。

一つ、愛と喪失について。

一つ、死について。

その三つの重要な話の中で、ジョブズが一番初めに話したことが「点と点を繋ぐこと」だった。

Again, you can't connect the dots looking forward

you can only connect them looking backwards.

So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.

You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever.

This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.

繰り返しですが、

将来をあらかじめ見据えて、

点と点をつなぎあわせることなどできません。

できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。

だから、我々はいまやっていることが

いずれ人生のどこかでつながって

実を結ぶだろうと信じるしかない。

運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないと

やっていけないのです。

私はこのやり方で後悔したことはありません。

むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。

「ハングリーであれ。愚か者であれ」 ジョブズ氏スピーチ全訳 :日本経済新聞より抜粋

「将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできない」、とジョブズは語った。

「できるのは、後からつなぎ合わせることだけです」、と。

Mac、iPod、そしてiPhoneによって世界を変革してきた天才が、その真逆を語っているのは興味深い。

スピーチでは、ジョブズが大学を中退した後に、ただ興味があってもぐっていた「カリグラフ」の授業が、のに「マッキントッシュ」を開発するときに役立った、と述べられている。

当然ながら、大学を中退したジョブズの目標や夢に、「マッキントッシュという美しいフォントを持つパソコンを開発すること」など、あるはずもない。

未来を描き、夢を描き、志を立て、そのためにピースを集めていくことが、あなたの人生のパズルを完成させる近道だ、というような文言はよく見かける。

いつの時代も、そのピースを集めるための、「かんたんに」「お手軽に」「すぐに」できるメソッドがもてはやされるし、巷にはあふれている。

けれど、いつも真実は「一見そう見えること」とは、逆のところにある。

私たちができるのは、何の気なしに集めたピースを、後から嵌めることだけなのかもしれない。

もっと言ってしまえば、ほんとうに深いところでは、誰しもが自分の人生で描く絵柄は、分かっているのだろうとも思う。

それは、意識にすら上ってこない、心の深い深い場所で。

そのために、ずっと好きなものも、なぜか心惹かれることも、胸が引き裂かれる想いも、心を閉ざす経験も、いろんなピースを「自ら」集めているのだろう。

だから心配することなく、今日一日の、いまこの時を味わい尽くそう。

安心して、喜び、歌い、悲しみ、踊り、中指立てて、涙して、怒り、やさぐれ、絶望し、そして愛し尽そう。

それは誰のものでもない、あなただけのピースだから。

いつか必ず、そのピースが嵌る時が訪れる。

そのとき現れるパズルの絵柄は、きっとあなたが想像だにしなかったくらい、素晴らしく美しい世界を見せてくれる。

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沈む夕陽の光、オレンジ色に染まる空と川辺の緑…こんな美しい図柄のパズルを作ろうなんて、誰が思ったんだろう。

きっと、誰も想像なんてしなかったんじゃないかな。

ぴったりと嵌る時が、かならず訪れる。

私のパズルのピースも、あなたのパズルのピースも。