心理的にみると、「正しさ」とは拒絶の手段の一つであり、周りとのつながりを壊します。
それゆえに、「正しさ」と「幸せ」は反比例したりします。
「正しさ」よりも、「やさしさ」を大切にしたいものです。
1.「正しさ」とは、拒絶の手段の一つ
「この世の中はどんどん悪くなっている」という類の言説があります。
「昔はよかった」という、ノスタルジーとともに語られることが多いのですが、決してそうではないと私は思います。
ただ、最近の世の中において少し行き過ぎているな、と感じることもあります。
それは、「正しさ」の絶対視というか、「正しいこと」がオールマイティのようになっていることでしょうか。
多様性やタイバーシティといったことが叫ばれる一方で、「正しさ」の持つ力は、年々大きくなっているような気がします。
企業や有名人が不祥事を起こしたときの、世の中の反応を見ても、そう感じることが多いものです。
あ、これは私の心の内面の投影でしょうか笑
それはともかくとして、心理学的にみると「正しさ」とは、自立的な人が取る拒絶の手段の一つです。
私たちは、依存時代に傷ついた分だけ、「二度とあんな痛い想いをしたくない」と強く誓うわけです。
そのなかで、自分なりのルールを持っていきます。
「簡単に人を信用してはいけない」
「人はすぐに秘密をバラすから、自分の胸の内を明かしてはいけない」
「他人に相談してはいけない」
…などなど、私たちは傷つかないためのルールを、自立していく中でつくります。
このルールは、観念や思い込み、あるいは「正しさ」と呼ばれたりもします。
いわば、「正しさ」とは、私たちが自分を守るための手段であり、それゆえに周りの人たちを拒絶するものでもあります。
2.「正しさ」と「幸せ」は反比例する
さて、こうした「正しさ」。
「正しい」というポジションにいると、人は居心地がいいものです。
だって、「正しい」人は、誰にも責められないのですから。
それゆえに、罪悪感が強い人も、「正しさ」にこだわる傾向があったりします。
罪の意識から、誰かから責められることを怖れるため、常に「正しくあろう」とするわけです。
しかし、「正しさと幸せは反比例する」という金言があります。
私たちの幸せとは、「正しくあること」ではないはずです。
幸せを一義的に決めることは難しいのですが、少なくとも、自分以外の誰かとのつながりが、大きな要素を占めることは、間違いないのでしょう。
しかし「正しさ」は、そのつながりを壊してしまいます。
もし自分が「正しい」人であったとしたら、相手はどういう立ち位置になるでしょう。
そうですよね、「間違っている」人になるわけです。
自分と相手の立ち位置が違えば違うほど、この傾向は大きくなります。
自分が正しくあろうとすればするほど、「見ろ、お前が間違っているんだぞ」というメッセージを、相手に送ってしまうことになります。
あなたなら、「間違っている」というレッテルを貼られた相手と、一緒にいたいと思うでしょうか。
そうそう、思わないですよね。
そうなんです。
「正しさ」を突き詰めると、相手との関係性を壊してしまう方向にしか、ならないものです。
3.正しいよりも、やさしくあること
「正しさ」は、私たちが自分自身を守るために、身につけたものです。
それが、相手との関係性を壊してしまう方に向いてしまうのは、悲しいものです。
けれども、大切な人との関係性やつながりを壊してしまうことは、誰も望まないものだと思います。
そうであるならば、「正しさ」は手放した方がいい。
大切な人との関係性においては、「正しさ」「正しくあること」よりも、「やさしさ」「やさしくあること」の方が、大事なようです。
では、「やさしさ」とは何でしょうか。
一つの答えは、「感情的理解」です。
これは、想像力と言い換えてもいいのでしょう。
なぜあの人は、いつもあんなにも不機嫌なのか。
あの人が、いつも暴言を吐くのは、なぜなのか。
もちろん、他人の前では機嫌よくすること、他人に暴言を吐いてはいけないことは、「正しい」ことです。
それは、間違いありません。
けれども、その「正しさ」を越えて、相手の事情や、あるいは心情に想いを馳せることができるのが、ここでいう想像力であり、「やさしさ」なのでしょう。
そして、その相手の内面を「感情的に」理解することができたならば。
きっと、「正しさ」なんか、どちらでもよくなります。
それだけ、傷ついていたのかもしれない。
それだけ、分かってほしかったのかもしれない。
そうした「やさしさ」こそ、自分と相手との間の架け橋になります。
もちろん、そのように相手の心情を想像するためには、まず自分の内面を整える必要があるのも、間違いのないことなのですけれどね。
そしてその内面が整うほどに、「正しさ」にこだわる必要がなくなっていきます。
やはり、「すべては自分から」という、いつもの結論に落ち着いてしまいました。
すべての道はローマに通ず、ということなのでしょう。
今日は、「正しさ」よりも「やさしさ」を、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
〇大嵜直人のカウンセリングの詳細・お申込みはこちらからどうぞ。
※ただいま7月度の個人カウンセリングを募集中となります。
〇カウンセリングのご感想のまとめはこちら。