大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「やさしさ」とはいくつもの心の風景を推し量れることであり、それは心理的な余裕から生まれる。

「やさしさ」にもいろいろありますが、他の人の心の風景を推し量れることは、「やさしさ」の一部です。

そして、それは自分自身の心理的な余裕から生まれるものでもあります。

1.「正しさ」よりも「やさしさ」を

先日の記事で、「正しさ」よりも「やさしさ」を、というテーマをお伝えしました。

人の心を狂わせる「正しさ」よりも、「やさしさ」を。 - 大嵜直人のブログ

「正しさ」を抱えていると、居心地がいいものです。

「正しい人」は、誰かから責められることは、ありませんから。

それゆえに、「正しさ」は人の心を狂わせます。

「正しい」「間違っている」という区別を生み、その「正しい」方に自分の身を置こうとします。

しかし、自分自身が「正しい」ポジションを取ってしまうと、必然的に自分の周りの人は「間違っている」ことになります。

自分が絶対的に「正しい」というポジションに居続ける限り、相手は「間違っている」というレッテルを貼り続けることになります。

時にそれは相手との対立を引き起こしますし、「間違っている」というレッテルを貼られた相手は、その関係が居心地がいいとは感じないものです。

それゆえ、「正しさ」にこだわると、他人とのつながりが保てなくなり、関係性を悪くする方にしか向かないものです。

先日の記事では、そうした「正しさ」よりも「やさしさ」を、というテーマでお伝えしました。

正しさよりも、やさしさを。

分断よりも、つながりを。

…と、口で言うのは簡単なのですけれどね笑

では、その「やさしさ」とは何か、今日はもう少し考えてみたいと思います。

2.感情的理解という「やさしさ」

「やさしさ」というものにも、さまざまな種類があると思います。

何に愛情を感じるかが人それぞれ違うように、「やさしさ」もまた、人によって違うものです。

人当たりがいい、という「やさしさ」もあれば、何も言わずに守ってくれるような「やさしさ」もあります。

もちろん、人の数だけ「やさしさ」があるとは思うのですが、今日のテーマで言うところの「やさしさ」は、感情的理解という「やさしさ」です。

感情的理解とは、その相手の状況や、そこから生まれる心情を、感情ベースで理解していくことです。

それは、その人と同じ状況や立場になったなら、自分も同じことをしていただろう、という想像力といえます。

要は、いくつもの心の風景を推し量れることであり、「正しさ」がいくつもあることを受け入れられる度量の大きさともいえます。

これ、書くだけなら簡単なんですが、なかなかに難しいことでもあります。

なぜ難しいかというと、私たちはどうしても、自分自身の視点や見方でしか、ものごとを見ることができないからなんですよね。

「何を、当たり前のことを」と思われるかもしれませんが、そうなんです。

その自分自身の視点や見方の一つが、「正しさ」でもあります。

そして、この感情的理解をするためには、自分自身の心に余裕がないとできないものです。

言ってみれば、めちゃくちゃお腹が痛くて、トイレを探し回っているときに、「誰かを思い遣る」なんて、考えらえないのと同じです。

「は?『やさしさ』?そんなものより、トイレどこなの??」

となるのが、当たり前です。

はい、私自身も、そうなります笑

感情的理解をするためには、自分自身の心に余裕がないとできない。

これは、「やさしさ」を考えるうえで、とても大切な点になります。

3.「やさしくない」のではなく、「余裕がない」だけなのかも

「他人を思い遣ることなんてできないから、私はやさしくないんだ」

そう仰られる方がいます。

けれども、決してそうではないんですよね。

「やさしい」「やさしくない」という軸よりも、単に「余裕がない」というだけの可能性の方が高い場合が多いものです。

猛烈な腹痛を抱えた状態で、誰かのことを思い遣るなんて、できないものです笑

「やさしくなれないなぁ」「私は、やさしくないなぁ」

もしそう感じる瞬間があるとしたら、自分自身に目を向けるタイミングです。

自分の感じていること、感情、ぐるぐるとした思考。

そうしたものをいったん吐き出すことが、必要になります。

それをすることで、私たちの心にスペースが生まれ、握りしめていた「正しさ」を手放すことができるようになります。

「やさしさ」とは、ある種の資質や能力ではなく、その人の状態に起因するものといえます。

今日のテーマでいうところの、「やさしさ」。

それは、誰でも持つことができる種類のものだと私は思います。

少なくとも、「私なんか、やさしくない」と感じるような方は、そうですよね。

「やさしくない」のではなく、他人の感情を推し量るほどの余裕が、自分の心のなかにないだけかもしれません。

そんなときは、自分の心に目を向けて、自分の声を聴く、自分をいたわる、自分の感じていることを表現する、そんなタイミングではないでしょうか。

 

今日は、「やさしさ」をテーマにしてお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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