大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「信頼」とは、統合へいたる道。

「信頼」とは、ものごとのポジティブな面だけを見ることでも、ネガティブな面だけを見ることでもありません。

それは、両極を統合する道といえます。

1.心理学における「信頼」について

まず、心理学における「信頼」について、おさらいしておきましょう。

一般的な意味での「信頼」というと、ポジティブなイメージがありますが、心理学の上では、少しそのニュアンスが異なります。

一般的な意味だと、「あの人を信頼していたのに、裏切られた」という文意が成り立ちますよね。

しかし心理学の上での「信頼」は、「裏切られることが無い」のが、大きな特徴です。

なぜか。

それは、心理学での「信頼」とは、その対象や相手の価値を見続けることであり、それはすなわち愛することの一部だからです。

愛することに、裏切られるも、裏切られないも、ないわけです。

誰かを、あるいは何かを真の意味で愛せたとしたら。

相手の反応や、何がしかの結果で、「裏切られた」とは感じないものです。

相手の反応や言動に左右されるならば、それは愛というよりも、打算や取引だったりするのかもしれません。

人は、真に誰かを愛せたとき、裏切られることはないものです。

少し、クサいですかね笑

でもね、ほんとうなんです。

2.「期待」と「心配」との違い

さて、クサい話は少し置いておいて、次に「信頼」と似て非なる2つの心理と、その違いをお伝えします。

それは、「期待」と「心配」です。

冒頭で「信頼」とは、ポジティブな面を見ることだけでも、ネガティブな面を見ることだけでもない、とお伝えしました。

その、ポジティブな面だけを見ることを、「期待」といいます。

言ってみれば、ものごとが自分の思い通りになる、と思い込んでいる心理といえます。

しかしながら、「期待は裏切られる」という金言があるように、自分の「期待」した結果の通りにはならないものです。

私も、週に5日か6日は、中日ドラゴンズの勝利を「期待」するのですが、まあ、よく裏切られるものです泣

一方で、ネガティブな面だけを見ることを、「心配」といいます。

もしあんなことが起こったらどうしよう、もしこれがあったら…と、起こってもいないことに対して、無限にネガティブな想像を働かせて、疲弊してしまう心理です。

「心配」の問題点の一つは、その対象の相手と対等な関係が築きづらくなることでしょうか。

子どもに対してであれば、いつまでも「心配」する親のもとでは、なかなか自立心は育たないものです。

あれやこれやと手を焼いてしまうと、それだけ子どもの力を奪ってしまうことになりかねません。

パートナーに対してであれば、「愛されているのかな」といつまでも「心配」していたら、なかなか相手との対等なパートナーシップは築けないものです。

このように、ものごとや相手のポジティブな面だけを見る「期待」、その反対の「心配」も、似ているようで「信頼」ではありません。

3.両の極を統合すること

「期待」や「心配」ではなく、「信頼」。

それは、どちらかの面だけを見ることではありません。

かといって難しいのは、どちらも否定することでもありません。

先ほど書いたように、「信頼」とは、相手やその対象のなかに価値を見続けることを指します。

それゆえに、相手に対してのポジティブな見方というのは、欠かせません。

しかし、だからといって、まったくネガティブな面を見なくていい、というわけでもありません。

たとえば、「我が子を信頼する」ということを考えてみると、大前提として必要なのは、子どもの無限の可能性を信じてあげられることです。

それは、どこまでも子どもの中に価値を見てあげること、ともいえます。

しかし、じゃあそれだけでいいかといえば、そうでもないわけです。

ダメなことはダメと教えることも必要ですし、獅子が千尋の谷に突き落とすような厳しさも、時には求められるわけです。

もちろん、それは我が子を信頼して、そして愛するがゆえにです。

可能性を見ることと、厳しさを持って接すること。

それは、どちらかが正しいというわけでもなく、どちらも必要ともいえます。

両の極を統合すること。

「信頼」とは、そうした統合にいたる道の一つでもあります。

「信頼」とは、愛することの一つの形です。

愛することとは、パンケーキのような甘い愛もあれば、時には痺れるようなカレーの辛さのような愛もあるのでしょう。

それこれも、すべて含めての「信頼」であり、愛することといえます。

 

今日は「信頼」とは、統合へといたる道、というテーマでお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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