「どうしたら人から愛さえるか」を考えていくなかで、私たちは「完璧な自分」になろうとします。
そうしなければ、他人から愛されない、と。
けれども、実は弱みや欠点と呼ばれる部分でこそ、人は愛されるようです。
名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。
1.あなたが何も隠していないほど、人にひらめきを与える
多くの人たちが自分自身をさらけだすのを怖れていたり、自分のいいところだけを人に見せようとします。
けれども実際は、あなたが本当の気持ちを分かちあうと、その誠実さが人を刺激し、人々があなたに近づいてくるのです。
こわがっているところ、恥ずかしいところ、不快に感じるところなど、みんな含めて話すことで、人と深く心がふれあうのです。
人から好かれたくて隠している自分の一面をだれかと分かちあうと、かえって私たちに誠実さと近づきやすさが出てくるのです。
何とも逆説的なことです。
「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.237
2.愛されたいがゆえに隠すもの
人生をかけた研究テーマ
他人と仲良くなりたい、親密になりたいというのは、人の根源的な欲求のようです。
私たちは、日々「いかにして、人から愛されるか」を考えて、生きているともいえます。
それは、私たちの両親からはじまり、親類、友だち、先生、そしてパートナーと、変わっていきます。
いわば、人生をかけて「どうしたら愛されるか」研究を続けているのかもしれません。
なぜ、人から愛される、親密になることが、そんなにも私たちのなかで、重要なのでしょうね。
太古の昔から、人間は集団生活を営むことで、生き延びてきました。
群れから離れた個体は、なかなか生き延びることが難しかったのかもしれません。
そうすると、他人と親密になること、仲良くなること、愛されることを重要だと感じることは、長い歴史のなかで人には刻まれてきたものかもしれません。
しかし、こうした人類史からの視点は、あまりロマンがありませんね…
他人と親密になりたい、愛されたい、と願うこと。
それは、裏を返せば、自分が愛したい、という強い欲求があればこそ、です。
そう考えると、人と親密になりたい、人から愛されたい、という欲求は、実は「自分が愛したい」という欲求を持っていることの、あらわれなのかもしれません。
うん、こちらの方が、ロマンがありますね笑
愛されたいがゆえに、隠すもの
すいません、だいぶ話がそれてしまいました笑
さて、その「どうしたら愛されるか研究」は、往々にして「完璧な自分になること」に行きつきます。
強い自分、
なんでもできる自分、
がんばっている自分、
他人にやさしい自分…
こんな完璧な自分になったら、愛されるよね?、と。
そうしていくと、その逆の
弱い部分、
黒い部分、
どうしようもない部分、
ダメダメな部分、
…そうした自分のなかのそうした部分を、人に見せないように、隠そうとします。
これが、なかなかにしんどいんですよね。
完璧な自分が評価され、愛されるほどに、「ちがう、ほんとの私はそうじゃない」という葛藤に、苦しくなるわけです。
パートナーシップだと、それが如実に出ますよね。
自分が素晴らしいと感じている部分を、パートナーに愛してもらうほどに、どこか違和感というか、騙しているというか、そんな消化不良な感じが残る。
どうやら、私たちの研究は、いつもどこか方向性を間違えるようです。
3.短所で愛されるという、パラドックス
人は長所で尊敬され、短所で愛される
ほんとうのところ、人は完璧な自分を見せるよりも、弱みを見せた方が、愛されます。
こわがっているところ、恥ずかしいところ、不快に感じるところなど、みんな含めて話すことで、人と深く心がふれあうのです。
完璧な自分を演じても、人との距離は、なかなか縮めることはできません。
人との親密感を育むのは、「自分の弱さ」です。
「人は長所で尊敬され、短所で愛される」
という格言がありますが、まさにその通りなわけです。
自分が欠点だと思っているところ。
それは、欠けているがゆえに、相手に埋めさせてあげる=愛させてあげるところです。
けれども、それを晒すのは、なかなかに難しいものですよね。
だってそれは、愛されたいがゆえに、隠してきたところです。
こんな私は、愛されない、と。
だって、両親も、友だちも、あの人も、愛してくれなかったんだから。
だから、隠したのに。
そう、思ってしまうものです。
だから、まずは自分がその弱み、欠点を愛してあげるんです。
そんな私も、わたしは愛しているよ、と。
ダメダメな自分、いじわるな自分、弱い自分…それもこれも、「でも、わたしは見放さない」と愛してあげる。
まずは、自分自身が愛してあげる。
そうするほどに、その自分を晒すことに、抵抗が少なくなっていきます。
パートナーシップの醍醐味
パートナーシップでは、この自分の欠点、弱みを見せることが、とても難しかったりします。
けれどもそこにこそ、パートナーシップの、最も大きな恩恵の一つが隠されていたりします。
自分が一番嫌っている、どうしようもない私。
その自分を、両親も、友だちも、あの人も、愛してくれなかった自分。
もしかしたら、自分自身でも、愛せなかったかもしれません。
そんな自分を、パートナーに愛される。
その逆に、パートナーが忌み嫌っている部分を、自分が愛してあげる。
それは、大きな癒しをもたらします。
これは、つきあいはじめたころの、お互いのすべてが魅力的に見えるような時期を過ぎ、関係性が深めていくなかでしか、できないとでもあります。
パートナーシップの、醍醐味とも呼べる部分かもしれません。
今日は、他人と親密さを育むために、大切な視点をお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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