自分を愛することとは、自分という存在そのものすべてに愛の目を向けること。
それは、相手を理解するという大きな恩恵をもたらしてくれます。
1.「存在」そのものに対して愛を向ける
昨日の記事では、存在そのものを愛する、というテーマでお伝えしました。
報酬や対価としての愛ではなく、自分という存在そのものに対しての愛を。 - 大嵜直人のブログ
報酬や対価としての愛、というものがあります。
分かりやすい例でいえば、「テストで100点だったから、あなたはとてもいい子ね」といった形です。
それを受けとる側からすると、ちょっとモヤっとする感じがしますよね。
なんだか、自分が愛されることに、条件をつけられているような。
そうではないのかもしれませんが、100点でなかったら、自分は愛される価値がないのかな、と感じてしまうような、そんな感じを受けたりするかもしれません。
しかし、他人からされるとそう感じるのに、なぜか私たちは自分に対して、そういった愛し方をしてしまうことがあります。
「これだけがんばったから、自分を認めてあげる」
「これができるから、自分は愛おしい」
意識的にせよ、無意識的にせよ、どこかで「いい自分」と「悪い自分」を区別して、その「いい自分」だけを愛そうとする、ともいえます。
そうした報酬や対価のような愛し方は、「悪い自分」の行き場がなくなる分、苦しくなります。
自分のなかにはいろんな面があり、それはどんな自分でも変わりないからです。
「自分を愛する」とは、そうした愛とは異なり、自分という存在そのものを愛することです。
何ができても、何ができなくても。
ただただ、生まれてきたこと、そしてその自分自身と出会えたこと。
そのことに、慈愛と感謝の念を向けること。
それが、「自分を愛する」ということの根源になります。
2.自分を愛することは、相手への理解をもたらす
さて、こうした根源的な意味での「自分を愛する」ことは、私たちにさまざまな恩恵を与えてくれます。
自分が自分の一番の味方でいることで、深い安心感を得ることも、一つの恩恵であることは、想像しやすいと思います。
今日は、少し違った視点で、「他人への理解」という恩恵を取り上げてみます。
自分を愛すること。
それが進むほどに、私たちは自分の周りの人たちを深く理解することができます。
「理解」とは、その相手の存在そのものを肯定し、認め、許すことというほどの意味です。
これは自分を愛し、認め、肯定し、許すことができると、それを自分の周りに映し出す、という「投影」の視点からも明らかです。
自分のなかに揺るぎない「自己愛」があるほどに、私たちは相手とつながることができます。
それは、表面的な相手の言動に振り回されたりすることなく、相手の感情に寄り添うことができるからです。
繰り返しになりますが、そのベースになるのは、私たちが自分自身を愛し、受け入れていることです。
たとえば、悪態をつくなどの、「悪い態度」を取る相手がいたとします。
自分への信頼が揺らいでいると、そうした態度に対して
「自分が何か悪いことをしたのかな…」といった罪悪感や、
「私が何もできないから」といった無力感、
あるいは「なんで私の前であんな態度を取るの?」といった寂しさからくる怒りに振り回されたりします。
けれども、自分への愛が深まるほどに、相手の感情を推し量る余裕が生まれます。
「この人は、どうしてこんな態度を取るんだろう」
「この人がこんなことを言わざるを得ないのは、なぜだろう」
そうした視点が持てると、少しずつ見えてくるものが変わっていきます。
3.自分を受け入れた分だけ、相手を受け入れられる
自分のなかには、さまざまな「わたし」がいます。
それこそ、自分が自覚していないような自分も、いるのでしょう。
そのいずれの自分も、たいせつな自分自身です。
あらゆる自分を受け入れ、愛した分だけ、私たちは自分の周りにも同じことができるようになります。
「愛せる幅が広くなる」と表現してもいいのでしょうし、「愛を見つけるのが上手くなる」ともいえるのでしょう。
自分をどう扱うかで、見える世界はまったく変わります。
心理学では、ものごとの見方がポジティブに変わることを「癒し」と呼びます。
自分を癒し続けることで、私たちは世界のなかからより多くの愛を見つけることができ、またたくさんの愛を受けとれるようになります。
そして、その視線を、自分の周りの大切な人たちに向けることができるようになるのです。
「自分を愛する」とは、かくも奥深く、そして莫大な恩恵を与えてくれるものといえます。
今日は、自分を愛することは、相手を理解するという恩恵をもたらす、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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