ずっと誰かのために生きてきた人が、自分のために生きることは、実に難しいことです。
私のなかでも明確な結論が出ているわけではないのですが、このテーマについて考えてみたいと思います。
1.「自分を愛する」ことは大前提としても
「自分のために生きよう」
「自分を大切にしよう」
「自分を愛そう」
という言葉は、よく耳にします。
そして、その言葉は間違いなく正しいことです。
すべては自分からであり、私たちは自分を愛することができてこそ、誰かを愛することができます。
自分の愛を、周りに投影するからです。
しかし、ずっと誰かのために生きてきたがゆえに、自分自身がボロボロになってしまったりします。
自分の身を粉にして、時には犠牲にしてまで、誰かのために生きてきた。
そのせいで、ずいぶんと心身が疲れてしまうことがあります。
これは単純に子育てをしてきたとか、親を介護してきたとか、パートナーの世話を焼いてきたとか、目に見える行動を取っている人に限りません。
心の中で、ずっと誰かのことを想い続けることもまた、同じことの裏表です。
そう言った意味では、ずっと親に中指立てて連絡を絶って生きてきた人も、等しく「誰かのために生きてきた人」といえます。
その人の心の奥底にあるのは、「自分ではない誰かへの想い」だからです。
おかしなことに聞こえますかね笑
でも、カウンセリングでお話を伺っていると、そんなにおかしなことではないように感じることが、よくあります。
そうした「ずっと誰かのために生きてきた人」が、「自分のために生きる」ことは、とても難しいことだな、と感じるのです。
たとえ、その「誰かのために生きること」が、犠牲や補償行為、あるいは癒着といった、心理的な問題からの行動であったとしてもです。
2.バックステップを踏むことになる?
もちろん、先に書いたように、誰かのために尽くしすぎて、心身を疲弊してしまったときは、まず自分の心身を休めることが最優先になります。
身体を休め、心に休息を与える時間は必要です。
ご飯を食べること、ゆっくりと眠ること、自分の心が落ち着く時間を持つこと。
そうした心身(とくに身体)の自己充足を満たすことは、大前提になります。
もちろん、それも最初はとても難しいことなんですけれどね。
休んでいると罪悪感を覚えたりします。
「好きなことしていいよ」と言われても、「ん?なにそれ?美味しいの?」という反応になってしまったり。
はい、犠牲とハードワーク大好きな我々には、非常にあるあるなお話です笑
そうした身体的な自己充足をすることも、とても大切なことは大前提として、今日のテーマはそこが主眼ではありません。
もちろん、心身が疲弊していたりするときには、自己充足が必要にはなるのですが。
ただ、いままでずっと誰かのために生きてきた人が、自己充足や、自分のやりたいこと、好きなことで、ほんとうに満ち足りることができるのか?というのは、私がずっと考えていることです。
多くの人間の成長モデルは、自分を満たした先に、他人や社会のために尽くす他者貢献ができるようになると説きます。
けれども、たとえそれが犠牲や癒着といった問題からだったとしても、「ずっと誰かのために」生きてきた人が、満たされるためには、どうしたらいいのでしょうか。
いっときは、自分のために生きることで満たされるかもしれません。
犠牲だろうと我慢だろうと、どんなにしんどくても、ずっとそれを続けられてきた人は、「自分以外の誰かのために生きる」ことこそが、その人の本質であり、また心の指し示すところであるように思うのです。
ある意味で、「自分のために生きる」ことは、その人にとってバックステップを踏むようなことかもしれないからです。
3.それまでの道を肯定し、灯りをともす
もちろん、順番というものもあると思います。
自分をないがしろにして、他人を優先して生きてきた。
まずは、自分を大切にする、いたわる、愛する。
その上で、どんな道を選ぶのかは、その人その人が選ぶことができれば、それが一番いいように思うのです。
自分のために生きてもいい。
誰かのために生きてもいい。
何かに縛られることないし、何かの義務からすることもない。
そのためには、やはりその人がそれまで生きてきた、歩んできた道に、価値を見ることが最も大切なことのように感じます。
それが、どれだけ癒着していたとしても。
どれだけ、犠牲していたとしても。
罪悪感から、あるいは無価値観から、そうしていたとしても。
誰かのために生きてきたこと、その真実は変わりません。
その道を肯定し、灯りをともすこと。
それが、大切なことであるように思うのです。
これからも、私はそうしたカウンセリングをご提供していきたいと思います。
今日は、ずっと誰かのために生きてきた人が、自分のために生きるためには、というテーマでお伝えしました。
今日も、ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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