大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー見習い。

催花雨に緑は萌え、春は訪れる。

ここのところ、雨が降ったり止んだりしている。

 

夜半に降る雨、日中に降る雨。

まだ冬のような冷たい雨、どこか暖かな気配の雨。

湿った香りのする雨、柔らかな雨。

 

一つ一つの雨に、表情があるようだ。

 

この「雨水」の時期に降る雨を、「催花雨(さいかう)」と呼ぶことがある。

 

植物の成長を助け、花が咲くことを催す雨。

 

「雨水」に降る雨には、そんな美しい名がついている。

 

七十二侯では「草木萌動(そうもくめばえいずる)」の時候。

 

足もとや木々の枝の先に、ほのかな緑に色づき始めた新芽を見るころ。

 

草木は芽吹き、眠っていた生命が目を覚ます。

 

春、近し。

 

 

陰の世界から、陽の世界への、転換点。

 

その転換期には、やはり陰の部分が出やすいのかもしれない。

 

三寒四温の言葉の通り、暖かさは寒さとともにやってくる。

 

それは人の感情にしても同じで。

 

どうしても怖れ、怒り、悲しみ、自己否定などが出やすいのが、この時期のようにも思う。

 

そうした「怖れ」といった部分は、遠ざけたくなるものだが、それを認め受け入れることが大切なのだろう。

 

「ああ、寒さが戻ったね。そういう時期も通っていくんだね」

 

と言うのと同じように、

 

「ああ、怖いんだね。自分の中に、まだそういう部分があったんだね」

 

と。

 

否定して抑え込もうとすればするほど、抑圧されたそれらの声は大きくなる。

 

寒と暖とをいったりきたりしながら、季節はめぐっていく。

 

陰と陽とを繰り返しながら、世界は回っていく。

 

怖れと愛を両の手に抱きしめしながら、人生は進んでいく。

 

ただ、流れのままに、あるがまま。

 

 

その繰り返しのはざまに降るのが、催花雨なのかもしれない。

 

寒と暖のあいだに、陰と陽のあいだに、怖れと愛のあいだに。

 

潤いと、恵みと、喜びを。

 

催花雨に緑は萌え、春は訪れる。

 

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