大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

降る雨は、暖かさを含んで。

降る雨に、暖かさを感じるようになりました。

時候は、「立春」から「雨水」へと移り変わるころ。

冷たく凍った氷を、東風が溶かしたのちに。

降る雪も雨に変わり、雪解けとうるおいをもたらすころです。

ごく微かだった春の音色が、すこしずつはっきりとしてくるころでもあります。

 

この時期の雨というのは、不思議なものです。

雨、というよりも、水がそうなのでしょうか。

冷たければ氷となり、温度が上がれば雲や霧といった気体になる。

そして、水自体もまた、冷たかったり、暖かかったりするようです。

寒いなかで降る雨。

それは冷たく感じるはずが、この時期の雨は、暖かさを含んでいるようです。

春を待つ人の心が、そうさせるのでしょうか。

 

雨水の時期に降る雨は、雪解けをもたらすものでもあります。

冷たく、固く降り積もった雪も、ずっとそのままでいるわけでもなく。

この、暖かさを含んだ雨が、それを溶かしていくようです。

雪解け、という言葉は、和解といった意味もあります。

どんなに固く閉ざされた心であっても、ずっとそのままということは、ありません。

時がめぐれば、暖かさを含んだ雨が降るように。

いつかは、雪解けに至るのでしょう。

 

降る雨がもたらす、暖かさと潤い。

それらに想いを寄せながら、春を待つことにしましょう。