閏日の墓参りの帰り道、熱田神宮に参拝した。
ニワトリが放し飼いにされていると息子に説明したところ、興味を示した。
少し雨がぱらついていたが、熱田の杜を歩くことにした。
ちょうど午後3時過ぎに着いたが、正門前の駐車場も空いていて停めることができた。
少し雨が降ってきたり、止んだりと不安定な天気だったので、傘を持って鳥居をくぐる。
新型肺炎の影響か、それとも天候のせいか、参道には人が少なく。
静かな中に、玉砂利の音が響く。
参道の端は、大きな樹木のおかげで、濡れずに歩くことができた。
都会の中心部に、こんな静かな場所があるのは、ありがたいものだ。
手水舎の前で、雨宿りしているコッコさんを、娘が見つけた。
放し飼いになっている彼らに挨拶をして、喜ぶ息子と娘。
肌寒い気温のせいか、コッコさんは時おり毛づくろいをしながらじっとしていた。
コッコさんの仲間を探しながら、正殿へ着いた。
やはり、かなり参拝客は少ないようだ。
静かな拝殿前で、柏手を打った。
拝殿の脇では、梅が満開だった。
嗅覚が鈍い私の花にも、その香りは十分に感じられた。
やはりこの梅の香りは、如月の時期がよく似合う。
春がほんとうに感じられる前だからこそ、趣があるのだ。
雨の匂いが入り混じったその香りを、しばし堪能させて頂いた。
お目当てのコッコさんは見当たらず、せっかくなので「こころの小径」へ。
この先にある、天照大御神の荒御霊を祀った「一之御前神社」にも参拝して、ぐるりと本殿を回る道を通る。
時おり、雨が強くなってきたりもしたが、木々のおかげでそれほど濡れず。
この小径を歩いていると、名古屋の真ん中にいることを忘れてしまう。
一歩、また一歩と歩くたびに、無心になるようだ。
そして小径を抜けた先の、宝物館は設備工事のため休館中だったが、その脇にいらっしゃった。
あまりにも自然に、境内に溶け込んでいらっしゃる。
近所の幼稚園で見るニワトリと違って、逞しく大きな身体。
息子と娘と、しばし一緒に遊んでいただいた。
少し雨が強くなってきたので、参道を後にすることにした。
小雨閏日の神宮は、どこか景色の輪郭がぼやけていて。
参拝客も少なかったせいか、ぱちんと消えゆく泡のように、どこかはかなく、また現実は慣れしたような時間だった。
コッコさんに会えて満足そうな息子と娘を乗せて、私は車を出した。