朝、玄関を開けて浴びる空気が、少しずつ張り詰めた冷たい空気になっていく。
暦の上では、もうすでに冬。
七十二侯では「地始凍、ちはじめてこおる」、地面に霜柱が下りるころ。
肌に感じる冷気よりも、足元の変化に目を向けるのが、なんとも粋なものだ。
そろそろ厚手の布団を出そうか、迷うころだ。
それより先に、半袖のままのシャツを長袖に変えるべきか。
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息子の飼っているクワガタも、なかなか土の中から出てこなくなった。
そろそろ、冬眠だろうか。
寒くなってくると、身体が硬くなる。
それは、生きものの摂理でもある。
身体が硬くなると、こころも固くなるようだ。
外に出るのもなかなか億劫になってくるが、この時期だからこそ見られるものもある。
寒い中でも、開花を待つ花もある。
椿と山茶花はよく似ているが、これは山茶花だろうか。
もう少しかかりそうだが、寒い冬に向かって準備をする花もある。
川沿いには、以前に見つけた天使のトランペット、キダチチョウセンアサガオがまた咲いていた。
歩いたり、ジョギングしたりしていると、硬くなった身体もほぐれていくようで。
それは、まるで油を差しているようなものなのかもしれない。
どんなに素晴らしい機械でも、放っておけば錆びていく。
慈しむように身体と対話しながら、寒さを感じるのも、またこの時期の趣である。
秋刀魚かシシャモのような、秋の雲。
この夕暮れの色合いが、晩秋の色のように思う。
寒いからこそ。
外に出てみよう。
身体の声を聞いて、油を差そう。