大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

牝馬の時代。 ~2020年 有馬記念 回顧

2020年の掉尾を飾る有馬記念。

夢の対決と謳われたジャパンカップの主役を務めた3頭の出走はなかったが、それでもGⅠ馬8頭と現時点における中長距離路線の主要メンバーが揃ったレースとなった。

 

勝ったのは北村友一騎手の4歳牝馬、クロノジェネシス。
逃げたバビットが前半1000mを62秒2のスローペースを刻み、番手集団が固まって形成される中、後方でじっくりと脚を溜めた。
3コーナー付近からマクり気味に進出を開始し、コーナリングの巧みさも利して、直線を向いたときには内のフィエールマンを目標にできる理想的な形。
デビューからコンビを組む北村騎手の手綱も冴え渡った。

これで当馬は今年の宝塚記念に続いて、グランプリ連覇。
牝馬としては、昨年のリスグラシュー以来、2頭目の快挙となった。

来年は女王として、他馬を迎え撃つ立場となる。
コロナ禍による海外の状況もあるが、どんな舞台でその走りを見られるのだろうか。
1歳下のデアリングタクト、コントレイルとの邂逅も含め、楽しみである。

 

2着に入った11番人気のサラキアには、驚かされた。
アイルランドトロフィー府中牝馬ステークスでの末脚など、夏の小倉以降は本当に充実していたのだろう。

スローペースの中、勝ち馬よりもさらに後方での待機から、上り3ハロン最速の末脚を伸ばした。
4コーナーでも後方4番手という、有力どころからさらにワンテンポ遅らせての仕掛けは、松山弘平騎手の肚をくくった騎乗に見えた。

牝馬三冠を達成し、その手綱捌きにはますます充実しているようだ。

オーナークラブの規定により、来年春には引退となる。
あと一歩届かかなかったGⅠタイトルは、半弟のサリオスに託されるのだろうか。

 

負けて強しの3着は、フィエールマン。

クリストフ・ルメール騎手は、スタートから積極的に出していって、番手集団の外目を確保。
それにより、13番枠の外枠という不利を解消しようとしているように見えた。

さらに、勝負どころでは自分から動いていった形。
堂々の力勝負に持ち込んだが、後方から差してきた2頭に屈する形になった。
ただ、改めて自身の持つ力を見せてくれた競馬だったようには思う。

来年は、3連覇のかかる天皇賞・春に向かうとすれば、最有力の一頭にはなるのだろう。
5歳にして、まだ11戦。
大事に使われてきただけに、息の長い活躍を期待したい。

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それにしても、1、2、4、5着が牝馬であった、今年の有馬記念(5着は同着)。
有馬記念のみならず、ラッキーライラック、グランアレグリア、クロノジェネシス、アーモンドアイ…稀代の名牝たちが、今年のGⅠ戦線を席巻した。

もう慣れすぎてしまった感はあるが、古馬の混合GⅠで牝馬が勝つのは当たり前の風景になってしまったように思う。
これだけ牝馬が活躍すると、当然のハンデとされていたセックス・アローワンスの▲2kgも、もはや強者に有利なルールのように思えてくる。

振り返れば、20年ほど前の天皇賞・秋で、エアグルーヴが勝利を収めたことに大きな衝撃を受けたが、令和の今となっては、もはや当たり前になってしまった。

uma-furi.com

平成は遠くになりにけり、なのかもしれない。

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それはともかくとして。
今年はコロナ禍で様々な催事やエンタメが中止となる中、無観客でも競馬開催を止めずに続けて頂いたことは、関係者の尽力に尽きる。
改めて、有馬記念まで無事に開催していただいたことに、感謝したい。

コロナ禍の下、無敗の三冠馬2頭の誕生をはじめとして、多くの希望を競馬からいただいた。
重ねて、クロノジェネシスとその関係者の皆様には感謝申し上げます。
ありがとうございました。

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