早いもので、立夏からもう1週間以上が過ぎた。
日に日に気温は上がり、草木の緑は日増しに濃くなり、生命の持つ力を感じる時候。
七十二侯では「蚯蚓出/みみずいずる」、土の中で眠っていたミミズが地上に出てくるころ。
すでに気の早い我が家のクワガタは冬眠から目覚め、飼っていたカブトムシの幼虫はサナギになっているが、ミミズはずいぶんとのんびり屋さんなようだ。
聞けば、今日の名古屋はすでに31度もあったと聞く。
梅雨入りも例年よりも早めに訪れるらしい。
暑くもなく、寒くもなく、一年で最も心地よいと感じる季節のはずだが、それもまた淡々と過ぎ行くようだ。
一陣の風が、吹き抜けていく。
薫る、風。
心地よい5月をあらわす、美しい言葉。
新緑の薫りを含んだ風が、頬を伝う感触。
考えてみれば、風の感触で季節の移り変わりを感じているようにも思う。
その風が、足元の花を揺らす。
小さな白い花。スノーデイジー。
ノースポールとも呼ぶらしい。
どこかお雛様の三人官女のようなその姿を、しばし眺めていた。