気づけば、二十四節気の一つ「立夏」を迎えました。
春分と夏至のあいだ。
春が極まり、暦の上では夏に切り替わる時候です。
七十二侯では、「蛙始鳴(かわずはじめてなく)」、啓蟄のころに出てきたカエルが、あちらこちらで鳴き声を上げはじめるころ。
カエルの声と聞くと、実家の周りの田んぼで鳴いていた、ウシガエルの野太い声を思い出します。
5月は新緑、薫風の季節。
散歩をしていても、はっとするような鮮やかな色の緑に、こころを奪われます。
風が薫る、という表現の通り、本当に気持ちがいい季節になりました。
歩いているだけで、癒されるような。
気づくと、その心地よい空気をめいっぱいに吸いたくて、深呼吸してしまうような。
気持ちのいい季節です。
1か月前には、空を薄桃色に染めていた桜の木も、緑一色に。
日差しに照らされて、葉脈が一つ一つ透けていて。
ほんの数か月前は、凍てつくような風の下、枯れ葉が並んでいたのに。
植物の偉大な力を、想います。
ありがたいことに、連休中もずっと晴れていました。
各地の行楽地がにぎわっているニュースを、よく見かけました。
この連休は、息子とキャッチボールをして、ドラゴンズを応援して、野球三昧でした。
見上げれば、夏のような日差し。
だいぶ、日焼けしました。
夏のような、それでいて、まだ夏ではないような。
そんな、この時期だけの、陽の光。
どの季節も好きなのですが、私の中で「夏」は特別な季節です。
夏の陽光の色を思い浮かべるだけで、どこかせつなくなるような。
夏のはじまりから、夏が過ぎゆくことを考えてしまい、さびしくなるような。
そんな、不思議な感じがするでのす。
年々、歳を重ねるごとに、その寂寥感を感じる時期が、早くなっているような気がします。
お盆過ぎの夏の終わりはいざしらず、もう夏本番になるころから「また、夏が通り過ぎてしまう」と寂しさを覚えていました。
その感じが、今年はこの立夏の空にも、感じたように思います。
夏は、どこか寂しさと結びついているようです。
だからといって、嫌なわけではなくて。
ただただ、その寂しさに、身を任せていたいと思うのです。
それは、そのほかのどんなこととも、同じなのかもしれません。