大嵜直人のブログ

たいせつな何かをなくした心に、ともしびを。

夢中になることと、「さびしさ」が結びつくことについて。

天気予報の週間天気を見ていると、しばらく晴れと曇りの予報が続くようです。

長く続いた梅雨が明けるのも、もうすぐ近いのかもしれません。

 

梅雨が明けると、真夏の炎暑。

けれどそれは、もうすぐに立秋の声を聞くことと同義です。

 

先月の終わりに迎えた夏至を過ぎてから、ほんの少しずつ、しかし確実に、日の入りは早くなっていきます。

おわりと、はじまりが近いところにあるように。

盛りと終わりもまた、案外と近いところにあるようです。

 

 

もう30年以上も前になるのでしょうか。

小学生の時分、両親が共働きだった私の夏休みは、いつも母方の祖母の家にお世話になっていました。

 

午前中は居間で宿題をして。

午後からは、近くの市民会館の横の公園で、よく昆虫を捕まえに行っていました。

虫かごをぶら下げ、セミやトンボ、バッタやチョウなどを追いかけては、タモを振るっていました。

 

あのころは、いま盛んにシャーシャーと鳴くクマゼミはいなくて、ジジジジジと鳴くアブラゼミと、比較的小さなニイニイゼミがほとんどでした。

あとは、お盆あたりになると鳴き始める、ツクツクボウシ。

あの鳴き声は、子どもごころながらに、夏の終わりの寂しさを誘われたものでした。

 

チョウは、アゲハチョウかモンシロチョウ、あるいはモンキチョウか。

エメラルドグリーンの美しいアオスジアゲハは、なかなか捕まえられないレアキャラでした。

 

トンボは、もっぱら白黒のシオカラトンボと、秋口のアキアカネ。

ギンヤンマ、オニヤンマという大きな種類のトンボに憧れましたが、近所の公園にはついぞ現れることはありませんでした。

 

 

学区のはずれだったこともあり、記憶の中の小さな私は、いつも一人でした。

 

祖母の家が、通っている小学校と違う学区にあったからかもしれません。

幼稚園から違う学区の小学校に入学したことで、友だちが少なかったこともあるかもしれません。

そもそも、元来の人見知りで友だちをつくるのが苦手だったのかもしれません。

 

もう少し学年が上がってからは、友だちの家に行ったりしていたようには思います。

けれど夏の記憶は、いつも一人タモを振るっている公園とともに、思い出されます。

 

夏休みという喜びと、暑い盛りの季節を迎えるワクワクと、それとともに訪れる、一人の時間と。

 

両親が共働きで、普段あまり一緒の時間を持てなかった私にとって、学校がなくなり一人になる時間が多くなる夏というのは、やはりさびしさと共にあったのかもしれません。

 

だから、なのでしょうか。

 

夢中になるという感覚は、私の中ではどこか「さびしさ」と結びついているような気もします。

 

夢中になると一人になるのか。

それとも一人にならないと、夢中になれないのか。

 

それは、夏の訪れがもたらす寂寥感と、どこか似ているような気もします。

 

 

夢中になるためには、ひとりにならないといけない。

ひとりにならないと、夢中にはなれない。

 

ともすると、そんな観念がわたしの中にはあるように感じます。

もしかしたら、これをお読みのあなたにも、そんな観念があるのかもしれません。

 

もちろん、それはそれでひとつの真実なのでしょう。

夢中になる、没頭するということは、ごくごく個人的なものなのでしょうから。

 

けれど、孤独感やさびしさへの怖れは、幻想かもしれません。

その先にある景色で、誰かが待っているかもしれないのですから。

 

夏の終わりに、また季節の移ろいの奇跡を見るように。

時は流れ、季節はめぐるように、さびしさや孤独もまた、流れていくのでしょう。

 

 

いつか見た写真があります。

 

その公園の端の草むらで、タモを置いてしゃがんでいる小さな私が写っている写真です。

チョウかバッタを、捕まえたのでしょうか。

少しはにかんだ表情で、こちらを振り向いている写真でした。

 

「でした」というのは、その写真が手元にないからです。

実家を整理したドタバタの中で、どこかへ行ってしまったのかもしれません。

 

けれど、遠い記憶のアルバムの中に、その写真はありました。

 

その写真を誰が撮ったのか。

記憶の中の私は、案外と一人ではなかったのかもしれません。

 

 

暑さはこれから盛りを迎えるのでしょう。

けれど、もう吹く風に、ほんのわずかに秋の感触があったような気がします。

 

梅雨も明ける前から、こんなことを考える私は、やはり夏が好きなのだろうと思うのです。

 

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