路傍の花に目を向けるようになって、時に花の名前を調べるようになりました。
この花の名前は何だろう、と。
いまは便利なもので、Webで検索すれば多くの写真とともに、花の名前が出てきます。
そうして花の名前を一つ知るごとに、世界は一つ彩りを増していきました。
語彙を知り広げていくと、世界の彩りが増す。
言葉を増やすことは、世界を広げてくれるようです。
そんな折、とてもテンションの上がる本を見つけました。
「365日にっぽんのいろ図鑑」(暦生活/高月美樹監修、玄光社刊)です。
そのタイトルの通り、365日の折々の季節に合わせた「にほんのいろ」を、美しい写真とともに紹介してくださる本です。
ちなみに、本日7月17日のいろは「杏色(あんずいろ)」だそうです。
少し、その本文を引用してみます。
優しい色合いに「日本らしさ」が見える
バラ科の落葉樹、杏の実が熟した色を指し、マイルドで少しくすみのある橙色です。英訳では「アプリコット」といい、近年ではリップやチークの色みとしてもよく耳にしますが、杏色と比べると濃度も彩度も高いのだそう。これは、日本では果実を生や乾物で食す一方、欧米ではジャムやコンポートにする文化の違いが関係しているためです。
杏はもとは中国原産ですが、古くから日本にあり「唐桃(からもも)」の名で親しまれてきました。『古今和歌集』にも登場しています。優しい色合いが変わらず人気の、ご機嫌な色です。
「365日にっぽんのいろ図鑑」p.206
そのほかにも、羊羹色、月白、赤丹、紺碧…などなど、日本の伝統色の美しい写真と、その由来が並んでいます。
花の色、葉の色、空の色。
花鳥風月を眺めるたびに、その色をどう表現したらいいか、戸惑うことが多くあります。
けれど、色の名前を知ることで、少しでもそれを表現することに近づけたらいいな、と思うのです。
終業式帰りの空色、もしくは旧劇場版エヴァンゲリオン色とでも呼べそうな。