だんだんと、空が高くなってきました。
秋らしい、澄んで吸い込まれそうになる空。
秋分を過ぎて、いっそう季節のあゆみが早まったように感じます。
七十二侯では、今日から「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」。
寒さを覚えた虫たちが、地中に姿を隠したり、その準備をはじめる時候です。
春の啓蟄のころの「蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)」と対になっているのが、なんとも美しいものです。
そういえば、息子が飼っている虫たちも、カブトムシは少しずつ力尽きる者が出始め、クワガタは動きが鈍くなってきたように感じます。
息子は、昨年の冬を越冬したクワガタが、今年も越冬して「2年越冬クワガタ」になってくれることを期待しているようですので、そうなってくれるといいのですが。
カブトムシのように幼虫で冬を越す虫もいれば、卵の姿で冬を越す虫もいるようで、その生態の豊かさには、いつも驚かされます。
それでなくても、虫というのは不思議な存在のようです。
幼いころの私が、いつも一人で虫取りに精を出していたこともあるのですが。
小さな身体からは、考えられないような力が宿っています。
びっくりするような大きな声で鳴くことができたり。
空を飛ぶことができたり。
鎌や針といった武器を持っていたり。
集団の力を見せてくれたり。
生の可能性のようなものを、見せてくれているような気がします。
その虫たちが、巣穴に隠れて戸をふさぐ時候。
そんな一日を、ゆっくりと味わっていきたいものです。