大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

自分を2番手のポジションに置きたがる、三角関係の心理。

三角関係の心理、というものがあります。

エレクトラ(エディプス)・コンプレックス呼ばれる、異性の親をめぐる葛藤の心理であり、自分を二番手のポジションに置くようになります。

その背景と、そこに向き合う恩恵について、お伝えしたいと思います。

名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。

1.すべての三角関係は、「ひとつの関係ですべてを満たすことはできない」という思いこみから生まれる

私たちはみんな、ひとつの関係ではすべてを手に入れることはできない、という限定された観念にしばられています。

「大人になりなさい」、完璧に幸せですべての望みがかなうような「おとぎ話の世界」には住めないのだ、と言われながら大きくなってきました。

 

「すべてを手に入れることはできない」という思いこみは、「父親と母親の愛を等しく手に入れることはできない」という、さらに深い観念から生まれます。

こうした観念は、私たちがアンバランスな家庭に生まれ育ち、子供として結びつきの欠如に直面せざるをえなかったことが原因です。

それは私たちの両親もまた、直面しなければならなかった問題でもあるのです。

 

典型的なパターンは、片方の親とは癒着し、もうひとりの親とは離れた関係になるというものです。

癒着している方の親とは、自分との境界線がわからなくなってしまいます。

そして、もうひとりの親とは非常に距離があったり、その親から「自立」しています。

ただし、ときには両親と密着して、結婚相手を疎んじるという場合もあります。

 

こういうアンバランスがあると、「ひとつの関係ですべてを満たすことはできない」と信じこむようになります。

たとえば、パートナーとの関係はうまくいっているのに仕事では思うようにいかないとか、パートナーとの関係よりも仕事のほうがずっと成功している、といったようにです。

 

あなたがひとつの関係にすべてを与えるという意思をもてば、その関係があなたにすべてを与えることを可能にします。

するとあなたは、もともとの人間関係のバランスを取り戻し、父親からの愛と母親からの愛を等しくもてることもわかるようになるのです。

 

「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.160,161

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2.三角関係の心理

今日のテーマは、「エディプス/エレクトラ・コンプレックス」でしょうか。

三角関係、嫉妬、浮気といった問題の、源流とされる心理になります。

エディプス/エレクトラ・コンプレックス

私たちが初めて出会う異性は、男性の場合は母親であり、女性の場合は父親です。

そのはじめての異性をめぐって、同性の親との葛藤が生まれます

「私たちの初めての恋は、必ず不倫である」、という表現もありますね。

女性の場合においては、お父さんからの愛をめぐって、お母さんとの競争が起こるわけです。

この葛藤が、「エレクトラ・コンプレックス」と呼ばれます。

お父さんから愛情を一身に受けて育った場合は、お母さんからお父さんを奪ってしまった、という罪悪感を強く抱えることがあります。

その反対に、お父さんからの愛情が感じられず、お父さんが自分よりもお母さんを優先していたりすると、「私には愛される価値なんてない」という無価値観を抱えることがあります。

この前者の場合を「エレクトラの勝者」、後者を「エレクトラの敗者」と呼びます。

「エレクトラ」というのは、ギリシア神話に出てくる女性の名前だそうです。

このあたりは、あまり詳しくないので、深入りするのは避けます笑

そして、この異性の親との葛藤の男性バージョンが、「エディプス・コンプレックス」です。

お母さんから溺愛されることで、お父さんから嫉妬され距離があると、罪悪感を抱えやすい。

お母さんの目線が、いつも自分ではなくてお父さんに向いていた場合は、無価値観を覚えやすくなります。

「エディプス(オイディプス)」の名もまた、ギリシア神話における息子の父親殺しの物語に由来するそうです。

「オイディプス王」の物語として、知られているものですね。

この二つのコンプレックス・葛藤は、対称ではないとされることもありますが、いったん同じものとして書いていきますね。

エレクトラ・コンプレックス、エディプス・コンプレックス。

いずれにしても、異性の親との関係が、罪悪感と無価値観という、問題の二大巨頭を生みだす下地になる、という理解でまずはいいと思います。

「すべてを手に入れることはできない」という思いこみは、「父親と母親の愛を等しく手に入れることはできない」という、さらに深い観念から生まれます。

引用文の、この一文が、なんとも深いですよね。

二番手が、心地よい

さて、この「エディプス/エレクトラ・コンプレックス」。

罪悪感と無価値観を育成するだけあって、私たちの生き方にも影響を及ぼす場合が多いようです。

エレクトラ(エディプス)の勝者、敗者ともに、二番手のポジションをなぜか選ぶことが多くなります

分かりやすいのが、恋愛でいう浮気や不倫ですよね。

勝者は、異性の親を同性の親から「奪った」と感じるので、罪悪感もそうですが「奪う」ことに自信を持ちます。

そうすると、パートナーがすでにいる異性に惹かれやすくなったりします。

敗者の場合は、異性の親にとっての「二番目」になるので、一番に愛されることを怖れます。

その結果として、パートナーがいる異性の、二番目のポジションが心地よかったりします。

これは恋愛では上のように出ますが、必ずしもそれに限りません。

たとえば、自分の希望や目標に対する考え方のパターンにしても、同じです。

エレクトラ(エディプス)の敗者は、「どうせ、私の第一希望なんかは、叶わない。第二希望あたりがちょうどいいんだ」と無意識的に思ってしまうことが多くなります。

その逆に勝者は、「自分の第一希望よりも、なんかあの人の持っている目標の方が、すごくよく見える。よし、あっちを私の第一希望にしちゃおう」という行動が多くなります。

いずれにしても、本当の願い、希望から自分を遠ざけるパターンを繰り返してしまうことが多くなります。

もちろん、夢や希望を叶えることへの怖さや罪悪感といった、いろんな要素があります。

ただ、エレクトラ(エディプス)・コンプレックスの心理は、内省してみる価値のあるものだと思います。

3.ひとつの関係ですべてを満たすために

勝者と敗者、それぞれの癒し方

もちろん、エレクトラ(エディプス)・コンプレックスも、一つの見方です。

もし上に書いたようなことが、自分に当てはまったと感じたとしても、それを「自分責め」に使わないでくださいね。

「だから、私はダメなんだ」というように。

何度も書いていますが、どうか、心理学を自分を責めることに、使わないでください。

大切なのは、「そう考えると、うまく説明できることが多い」ということと、「それは癒すことができる」ということです。

心理学は、統計学といわれます。

そう説明すると、うまくいくことが多い、ということ。

そして、私たちは葛藤や傷を、癒していくことができる。

それが、私のお伝えしたいことです。

 

さて、そうしたエレクトラ(エディプス)・コンプレックスの、癒し方。

それは、罪悪感と無価値観の癒し方と同じようになります。

エレクトラの敗者の場合は、お父さんから愛情を、もう一度受けとりましょう、というアプローチ。

愛されていたことを思い出す、探すことで、無価値観を癒していくものです。

一方で、勝者の場合は、お父さんをお母さんにお返しする、というアプローチになります。

そうすることで、お父さんとお母さんの関係、そして自分の関係にバランスが取れるようになります。

こうして書くのは簡単ですが、もちろんそれを聞いただけでできるものではありません。

大切なのは、一人でやろうとしないこと、でしょうか。

エレクトラ(エディプス)・コンプレックスと向き合う恩恵

こうした問題を考えるときに、自分にだけ目線を向けると、袋小路に入ってしまうことがあります。

「でも、だって」といった、「頭ではわかっているんだけど…」といった状態に、よく陥りがちです。

そうしたときは、一度引いた視点で見てみると、少し違った風景になります。

引用文の、この部分がヒントになります。

こうした観念は、私たちがアンバランスな家庭に生まれ育ち、子供として結びつきの欠如に直面せざるをえなかったことが原因です。

それは私たちの両親もまた、直面しなければならなかった問題でもあるのです。

アンバランスな、家庭の関係。

結びつきの欠如。

それは、私たちの両親もまた、抱えていた問題だったかもしれない、と。

もしそうだとしたら、先祖代々、受け継がれてきた問題かもしれません。

それは、誰が悪いわけでもない。

けれど、その問題と向き合うことは、大きな大きな恩恵を与えてくれます。

エレクトラの勝者は、その偉大な魅力やセクシュアリティといったものを、輝かせる恩恵。

敗者の場合は、この世界から与えられる愛情を、余すことなく受けとれるようになる、という恩恵。

いずれにしても、お父さん・お母さんを、ほんとうの意味での「お父さん・お母さん」にすることで、生きやすくなり、自分の歩む道に自信が持てるようになります。

ひとつの関係で、すべてを満たすことができる

そう信じることも、できるのでしょう。

 

今日は、エレクトラ(エディプス)・コンプレックスを見ていきました。

少し、理論的な部分が多くなってしまいましたが、参考になりましたら幸いです。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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