大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「豊かさ」とは、ゼロサムゲームではなくて、感じれば感じるほどに増えていくもの。

「豊かさ」を限られたものととらえると、どうしても競争しようとする心理がはたらきます。

けれども「豊かさ」とは、決して限られたものではなく、感じるほどに無限に増えていく性質を持つものです。

名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。

1.真の豊かさは、勝者のみを生む

そこに勝者と敗者が生まれるのなら、コミュニケーションがまだ十分に実っていないのです。

まだ、どこかに傷と怖れがあり、意識の深層では葛藤が続いているということです。

ひとりでも敗者がいれば、あなたの欠乏の観念が強化されてしまいます。

ですから勝者しかいなくなるところまでコミュニケーションをやめないでください。

 

「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.392

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2.「豊かさ」とはゼロサムゲームではない

今日のテーマは、何でしょうね。

「競争」、あるいは「豊かさ」、あるいはコミュニケーション論から見ても、面白そうです。

 

「競争」の心理は、つい先日こちらの記事でご紹介しました。

自信のなさからくる「競争」の心理は、もっと自分を愛せる、もっとパートナーと関係性を深められるというサイン。

「自立」するほどに、周りと「競争」してしまう心理がうまれる。

そしてそれは、自分の正しさだったり、自分の価値を争ってしまうものです。

しかしその裏には、自分への自信のなさが隠れている、というお話でした。

その話ともつながるところですが、私たちはどこか「自立」していると、勝ち負けにこだわります。

自分が主導権を握るのか、それとも握られるのか。

どこか、世界を二分して、分けへだつ方向へと進んでしまいます。

それは、自分の抱えた痛みがそうさせるともいえるのですが、もしかしたらこういった思い込みがあるのかもしれません。

「豊かさの総量は、決まっている」

自分が豊かになると、相手が豊かではなくなる。

あるいは、その逆も然りのように。

自分の豊かさと、相手の豊かさ、ひいては世界の豊かさを足した「豊かさ量」は、決められたものだ、と。

そう考えると、自分が豊かになるためには、誰かから奪わないといけなくなります。

そうすると、自分が豊かになることに罪悪感を抱いてしまうのは、容易に想像がつきますよね。

あるいはその逆に、誰か豊かな人を見ると、「あいつが豊かだから、私は豊かになれない」と拗ねてしまったり。

どうも、「豊かさ」をゼロサムゲームで考えると、あまりいいことはないようです。

「豊かさ」を「幸せ」などに置き換えてみても、いいかもしれません。

それがある種の「限られたもの」という観念は、私たちをいろんな罠に導いてしまいます。

「限られたもの」だから、それをめぐって争いもするし、あるいは相手に勝とうとしてしまう。

そう考えると、私たちは「豊かさ」を、まるでバーゲンセールの限定商品のように扱ってしまっているのかもしれません。

3.「豊かさ」は感じるほどにふえるもの

しかし、真実はきっとそうではありません。

「豊かさ」にせよ、「幸せ」にせよ。

それが限られたものである、というのは、幻想です。

それは私たちの内面に宿るものですから、私たちの心の深さ、広さと同じく、それは無限なのでしょう。

そして「豊かさ」とは、それを感じれば感じるほどに満たされ、そして増えていくものです。

「幸せ」もまた、同じです。

そこに不足感や、あるいは奪われる怖れを感じるのであれば、それは自分自身の心が曇っているだけなのです。

どこかに癒されていない傷や痛みがあり、それゆえに何がしかの葛藤を抱えている。

ゆえに、「豊かさ」を感じることが難しくなったりもします。

けれども、その内面の傷や痛みを癒していくほどに、感じられる「豊かさ」がふえていきます。

そこに、相手との「競争」に勝つかどうかは、まったく関係がありません。

「真の豊かさとは、勝者のみを生む」

まさに、今日の引用文が、真実なのだと思うのです。

そして、そこに至るために必要なのが、「コミュニケーション」なのでしょう。

「コミュニケーション」があればこそ、私たちは自分の傷や痛みに気づくこともできますし、それを癒していくことができます。

勝者と敗者が生まれる「コミュニケーション」は、真のコミュニケーションではありません。

これは、ビジネスや商売においても、同じですよね。

売り手と買い手、そのどちらかが「相手に勝った」というような商売は、長く続きません。

そのような思考だと、相手を騙したり、出し抜いたりといった行為に走ってしまうかもしれません。

「お互いが勝者になること」を考えるほどに、商売も大きくなり、また「豊かさ」や「幸せ」も増えていくのでしょう。

 

中世・近世において、近江を拠点に行商していた近江商人。

その近江商人が大切にしていた哲学に、「三方よし」という言葉があります。

「売り手よし、書い手よし、世間よし」

売り手と買い手のみならず、それが社会にも貢献できる視点を持つことを教えてくれます。

「三方よし」が教えてくれる視点を、私も失わないようにしていきたいと思います。

 

今日は「豊かさ」について、お伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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