心が痛みや苦しみを感じるとき、それは「癒し」のプロセスであると見ることができます。
それは、新しい自分に出会うタイミングでもあります。
1.「癒し」について
昨日の記事では、「癒し」をテーマにしてお伝えしました。
「癒し」をもたらすもの、涙、眠り、そして忘却。 - 大嵜直人のブログ
「癒し」という言葉には、さまざまな意味やニュアンスがあります。
ただ、心理学的な意味での「癒し」とは、
「ものごとの見方が、ポジティブに変わること」
を指します。
こう聞くと、結構シンプルですよね。
ものの見方、価値観、観念…そうしたものが変わるわけですから、それはそれは大きなことです。
たとえるなら、「癒し」とは、「何かを学んだ」とか、「何かができるようになった」といった成長ではなく、「まったく新しい自分になった」というくらいの変化と言えます。
新しいアプリを入れるのではなく、OS自体が全く新しく変わってしまう。
「癒し」とは、そんな体験といえます。
だからといって、それまでとまったく別人格になってしまうわけではなく、どちらかといえば、その人の本質に近づくようなイメージです。
2.痛みや苦しみは「癒し」のプロセス
「人生最大の悲劇は、人生最高の喜劇に変えることができる」
心理学には、そんな言葉があります。
私も、辛いとき、しんどいとき、ずいぶんとその言葉に助けられてきました。
「それにしても、しんどいな。でも、これが人生最高の喜劇に変わるとしたら、どんな感じなんだろう」
そんなことを、想像してみたりもしました。
「癒し」とは、ものごとの見方がポジティブに変わること。
先ほど、そうお書きしました。
言葉にするのは容易いですが、そうそう簡単なものでもありません。
自分の慣れ親しんだ価値観、見方、観念を捨て去るのには、相応の痛みや苦しみがともなうからです。
「癒し」とは、時に勇気と決断が必要になるような、厳しい側面があると、昨日の記事でもお書きしました。
もちろん、「あ、そうなのねー」とばかりに、簡単に「癒し」が起こる人も、いるのかもしれません。
けれども、深い「癒し」であればあるほど、それは自分の根源的な価値観を揺さぶるものですから、時に痛みや苦しみを感じるものです。
多くの場合、それは何らかの「問題」という形で、私たちの前に現れたりもします。
信頼していた人からの裏切り。
パートナーシップの破綻や、家族の不仲。
自分の身体の病気。
仕事のキャリアでの不遇。
生きていれば、誰しもが何らかの悩みを抱えるのでしょうけれども、そうした「問題」は、「癒し」の呼び水でもあります。
そう考えていくと、心が何らかの痛みや苦しみを感じているとき、それは「癒し」のプロセスのなかにある、ともいえるのでしょう。
3.もし、誰かが自分の人生の脚本を書いているとしたら
人生で起こる、理不尽なできごと。
自分ではどうしようもないこと。
なぜ、自分にだけ、こんなことが起きるんだろう。
なぜ、自分だけ、こうなんだろう。
誰しも、そんな苦しみや痛みを感じることは、あるのでしょう。
先ほどのお話でいえば、それは「癒し」のプロセスなのでしょうけれども、さりとて、そう考えたところで、簡単にその苦しみや痛みが消えるわけではありません。
その苦しみ、痛みは、あなたがいままで大切にしてきた価値観の分だけ、大きいものだからです。
ただ、その痛みや苦しみを感じるのであれば。
それは、「新しい自分」へと近づいているサインでもあります。
もし、あなたがいま、苦しみや痛みを感じているのであれば。
少し、想像してみてください。
あなたの人生が、そっくりそのまま一つの舞台だったとして。
その脚本を、神さまなのか、誰か分かりませんが、書いているとしたら。
その理不尽なできごとに、どんな意味を持たせているのでしょうか。
「なんで私だけだが」
主人公は、そう嘆くかもしれません。
「あんなことがなければ」
そう、主人公は、運命を恨むかもしれません。
そうしたなかで、一つのパートの幕が下りました。
次の幕が上がるとき。
その舞台の主人公の苦悩は、どんなふうに昇華されるのでしょうか。
やはり、苦しんだ分だけ、いえ、それ以上の喜びとカタルシスが、その舞台の先に待っているのではないかと思うのです。
「あのできごとが、あったからこそ」
脚本家は、主人公にそんな台詞を用意しているのかもしれませんね。
今日は、痛みや苦しみは「癒し」のプロセス、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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