もう1月も半ばになりました。
ついこの間、2023年を迎えたばかりだと思ったのに、早いものです。
時候は、「大寒」。
一年のなかで、もっとも寒さが厳しくなるころといわれます。
その時候にあわせたように、寒波がやってきており、来週はかなり冷え込むようですね。
各地の予報に雪マークがついているのを見て、冬本番を実感します。
気温は一年のなかで一番冷え込むのですが、一方で春に向けての胎動が少しずつ見られるのも、この時期です。
七十二候では「欵冬華(ふきのはなさく)」。
凍りついた地面に、フキの花が咲き始めるころ。
フキというと、ふきのとうの天ぷらを想ってしまう私ですが、それも春の風物詩ですよね。
厳しい寒さの中でも、春の芽吹きをさがして散歩をするのも、この時期ならではの楽しさがあります。
近所の公園では、木蓮の蕾が、ずいぶんとふくらんでいました。
ふさふさとした産毛のような形が、そのときを待っています。
あともう少ししたら、その美しい白い花を咲かせてくれるでしょうか。
私の大好きな花の一つです。
この時期の花といえば梅ですが、梅の花は、まだ固い蕾に覆われていました。
「耐雪梅花麗」。
梅といえば、この成句を思い出します。
かの西郷隆盛さんが、親類に贈った漢詩の一節です。
これまた、私の大好きだったプロ野球の広島東洋カープの黒田博樹さんの座右の銘だったことから、私はこの句を知りました。
厳しい寒さの中に降る雪を耐え忍ぶからこそ、梅の花はひときわ美しい花を咲かせる。
そんな意味でしょうか。
厳しい寒さに耐えて、春の訪れを告げる梅の花に、西郷さんも黒田さんも、いろいろなものを投影していたのかもしれません。
しかし、この一年で最も寒さの厳しい、この時期に花を咲かせようとする木蓮もまた、いいものです。
公園を訪れるたびに、その白い蕾に目が留まります。
七十二候で表現された「フキ」の花にしても。
この寒さが一番厳しい季節に、すでに春の胎動ははじまっている。
十二月の終わり、冬至を過ぎてから、陽は一日、また一日と長くなり、その力を増していきます。
表に見えている寒さは、その「なごり」のようなものかもしれません。
冬の寒い日の日差しは、ほんとうにありがたいものです。
この日は、雲ひとつない晴天。
その陽射しには、すでに確かな力強さを感じるようです。
季節のめぐりが、そうであるならば。
私たちが、悲しみや痛みを感じるとき。
それはそれとして、しんどいものですが。
それが表に出てきたということは、もう癒えるときも近いといえるのかもしれません。
この大寒の時期、確かに春の胎動を感じるように。
目に見えるものと、目に見えないものは、少し違う速さで動いている。
季節のめぐりは、実にさまざまなことを教えてくれるようです。
公園のお山に少し入った道で。
冬の日差しは、ほんとうにやわらかく、それでいて確かな意思に満ちているようで。
神秘的なものを感じるような、そんな時間でした。