大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

立春、東風解凍。あるいは、雪に梅花。

旧暦では一年の始まりとされる、立春を迎えました。

暦の上で春を迎えて、少し暖かくなるかと思ったのですが、厳しい寒の戻りがありました。

週末には、雪が降ったりと、季節が逆戻りしたような感じもしました。

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近所の公園も、一晩で雪景色に。

吹く風も、冷たく。

七十二侯では「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」、暖かい春の風が、凍てつく氷を解かすころなのですが、なかなかそうは感じられず。

公園の中の池も、氷が張っていました。

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公園の中の山道にも、雪化粧が。

少し登ってみようかとも思いましたが、あまりに寒そうなのでやめておきました。

それにしても、雪というものは不思議なものです。

そこにあったものを、白く覆って隠してしまう。

白銀の世界は、いつもとはまるで違う世界を見せてます。

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そんな中でも、木蓮の蕾がふくらんでいました。

先月見たときよりも、おおきく、ふわふわに。

雪に濡れながら、寒さの中、じっとそこにいました。

もうあと少しという気配ですが、この寒さで、また少し足踏みになるのでしょうか。

大寒のときにも書きましたが、この寒さの中、春の兆しを探すことは、楽しいものです。

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帰り道には、梅の木も。

雪の中で、じっと「そのとき」を待つ、梅の蕾。

古来より、多くの画家が好んで描いてきた構図。

いまのような便利な暖房器具もなかった時代、春をまちわびる気持ちは、どれほどのものだったでしょう。

だからこそ、早くに春を告げる梅の花は、愛でられてきたのかもしれません。

歳を重ねるごとに。

私も、梅の蕾が開くのを見るのが、楽しみになってきたように思います。

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ひっそりと、一つだけ咲いていました。

今年はじめての、梅の花。

雪をかぶりながらも咲いている姿が、なんとも健気で、美しく。

「耐雪梅花麗(雪に耐えて梅花麗し)」

かの西郷隆盛さんが、留学する親類に寄せた詩の中の一節が、想起されます。

梅の花は、雪の冷たさに耐えてこそ、初めて麗しく咲く。

一輪の梅の花と、雪の白さ。

朝の静かな時間の中に、その美しさは際立っていました。

しばらく、その梅の花を眺めていました。

寒さは厳しくとも、風は冷たくとも。

雪がその花弁に積もろうとも。

やはり、もう春は訪れているようです。