「自立」を手放すことは、一朝一夕には難しいものです。
けれども、それとは違う方向性や頑張り方が「ある」と知るだけでも、違ってくるものです。
1.与えること自体が喜びという与え方
先日の記事では、「与えること自体が喜び」という与え方をテーマにして、お伝えしました。
「自立」の先にある、与えること自体が喜びという与え方。 - 大嵜直人のブログ
私たちの心の成長プロセスである、「依存」から「自立」、そして「相互依存」。
そのなかで「自立」するほどに、私たちは誰かに「与えたがり」になります。
「自立」とは、誰かに頼ることをやめて、なんでも自分一人でやろうとするマインドの時代です。
それゆえに、自分でできることを増やしていくことができます。
そして、それを周りに「与えようとする」マインドが、「自立」の特徴といえます。
それ自体は、素晴らしいことなのですが、問題は「自立」的な人ほど、与えることに疲れてしまったり、枯れてしまうように感じることにあります。
それは、「自立」しているといっても、相手の反応を気にする「依存」のマインドを、自分の奥底に隠していたりするゆえに起こることです。
「(せっかく苦労して)与えたのに、(僕の思い通りに)喜んでくれないなら、もうあげない!」
といったマインドでしょうか。
これを、「自立の依存」と呼んだりもします。
「自立」しているように見えて、相手の反応をとても気にしている状態。
前回の記事では、そこから自分のなかの「与えたい」という愛とつながることで、与えること自体が喜びになる与え方をご紹介しました。
小さな赤ちゃん、あるいは生まれたばかりの子猫、小鳥といった小動物を思い浮かべてみると、わかりやすいかもしれません。
その相手がどう反応しようが、与えたくなるものです。
まあ、それを大の大人であるパートナーとかにしようとすると、やはり難しいものですが笑
それはともかくとして、与えること自体が喜び、という姿は、「自立」のなかの「依存」を癒すための、一つの方向性といえます。
2.「依存」を無視した先にある「自立の自立」
さて、そうした「与えること自体が喜び」という方向性に向かえればいいのですが、逆の方向に進んでしまう場合もあります。
「自立」したように見えて、自分のなかにある「依存」を、切ってしまう方向です。
相手の反応が気になる。
もっと自分を見てほしい。
相手によりかかりたい。
「自立」の背後にある、こうした「依存」的な感情をなかったことにしたり、感じないようにしていくわけです。
自分のなかの弱さを嫌い、徹底的に追い出すような感じでしょうか。
こうなると、感情を感じづらくなり、無感動、無表情になったり、果ては無気力になったりもします。
この状態を、「自立の自立」と呼ばれたりもします。
「自立の自立」では、与えることはしているのですが、何かの役割を演じているような感覚が強くなります。
与えるにしても、「仕事だから」「母親だから」「夫だから」といったものを演じているから、という与え方になります。
まるで自分がロボットのように感じたり、あるいは灰色の毎日のように感じることもあります。
3.その方向性が「ある」と知るだけでも違う
さて、こうした「自立の自立」を抜け出すのには、周りとのつながりが鍵になります。
すなわち、「誰かを頼る」「助けを求める」「白旗をあげる」…などなど、「自立」とはまったく逆のキーワードが重要になります。
そして、「自立」するほどになんでもコントロールしようとしてきた場面で、「委ねる」「任せる」「信頼する」といったことも必要になります。
そうはいっても、いきなりやろうとしても、難しいものです。
だって、ずっと一人でガリガリと個人競技をやってきた人が、チームプレーが求められる競技に変わったようなものですから。
なかなか、すぐにマインドは変わらないかもしれません。
ただ、もし自分一人でがんばってきて限界を感じたり、世界が灰色のように感じたりするのであれば、そちらの方向が「ある」と知るだけでも、まずはいいと思うのです。
「そうか!わかった!」と、今日からすぐに「自立」を手放せたりすることなんて、ありませんから。
私自身も、そうです笑
だから、その方向性が「ある」ことを知ることから、始めてみてはいいのではないでしょうか。
「自立の自立」の状態にいると、出口がないようなしんどさがあります。
どれだけがんばっても報われない、喜びが感じられない。
さしずめ、もがけばもがくほど、深みにはまる蟻地獄にハマっているような。
そんな、感覚に陥ったりします。
けれども、それとは違う方向での頑張り方が「ある」と知るだけでも、変わるものがあります。
今日は、それだけをお伝えできましたら幸いです。
今日は、「自立の自立」の心理についてお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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