大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「自立」と「依存」が入れ替わるときは、関係性の危機でもあり、チャンスでもある。

「依存」と「自立」の関係性が入れ替わるタイミングがあります。

それは、相手との関係性に危機が訪れるタイミングでもあり、またお互いへの理解を深め、より深い関係性になれるチャンスでもあります。

それを決めるのは、自分自身です。

1.「相互依存」は、シーソーのように

ここのところ、「依存」から「自立」、そして「相互依存」という、私たちの心の成長プロセスについてのあれこれをお伝えしております。

昨日の記事では、「自立」の先にある「相互依存」のイメージについて、お伝えしました。

「相互依存」は、シーソーでバランスを取るように。 - 大嵜直人のブログ

「依存」は、自分には何もできないから、誰かに何とかしてもらいたい状態。

それでは自分に主導権がなく、しんどい思いをすることが多いので、「それなら、自分でやろう」と「自立」するようになります。

「自立」とは、言ってみれば、何でも自分一人でやろうとする状態といえます。

それゆえ、周りの人たちとの葛藤を抱えやすくなりますし、孤独感に苛まれることも多かったりします。

他人との競争や、勝ち負け、正しい・間違っていることにこだわるのも、「自立」の特徴です。

カウンセリングで扱うテーマの多くは、この「自立」の問題だったりもします。

この「自立」の先にあるのが、「相互依存」です。

「相互依存」とは、自分でできることは自分でする、自分にできないことは誰かに頼ったりお願いする、というシンプルなステージです。

それは決してビジネスライクな関係ではなく、お互いがお互いに対して与え合う、受けとり合う、満ちたりた関係です。

ただ、そこに至るには、自分ができないという弱さを認めて「自立」を手放したり、相手のことを信頼したり、ひいては自分を深く愛したり、していく必要があります。

そう考えると難しいのですが、昨日の記事では、シーソーのバランスのようなイメージでお伝えしました。

お互いが協力して、お互いを思いやりながら、バランスを取り合っていく、あのイメージです。

「相互依存」は、そんなイメージに近いものです。

2.関係性における「自立」と「依存」

さて、昨日の記事で「相互依存」を書いておきながら、今日は「依存」と「自立」にまた戻ります笑

この「依存」と「自立」ですが、自分自身がどちらにいるか、という見方もできるのですが、何かとの関係性において決まることも多いものです。

たとえば、仕事においては「超自立」だけれども、パートナーとの関係においては「超依存」になってしまうとかは、普通にあったりしますよね。

「自立」と「依存」。

自分がどちらの状態なのか?と考えることもできますが、「この相手に対しては、どうだろう?」「勤めている会社に対しては?」「お金に対しては?」と、何らかの関係性のなかで考えてみることは、非常に重要な視点です。

何らかの相手に対して「依存」的になっているということは、その相手に主導権を渡してしまっている状態ですよね。

「お金」だったらお金軸、「会社」だったら会社軸、といった具合に。

もしそういった状態であれば、まずは自分に主導権を取り戻せるように、ちょっと自力でがんばる必要があるのでしょう。

その反対に、その相手に対して、コントロールしようと力が入ったり、頼りなく感じたりするときは、逆のアプローチが必要になります。

その相手に感謝する時間を意図的に増やしてみたり、あるいはその相手を信頼してみたり、委ねてみたり、流れに任せてみたり。

そうした、「自立」を手放していくアプローチが必要になるのでしょう。

単に自分が「依存」か「自立」か、という白黒つける見方ではなく、「この相手(ものごと)との関係性においては、自分はどっちだろう?」という見方をすると、少し見えてくるものが違ってきます。

いずれにしても、「依存」の立場にいる場合は、少しがんばって「自立」できるように。

「自立」の立場にいる場合は、それを手放して「相互依存」に至れるようにしていくのが、自分にとっても、相手にとっても、望ましいことなのでしょう。

3.「自立」と「依存」が入れ替わるとき

さて、この「自立」と「依存」ですが、その関係性は固定ではありません。

先ほども書いたように、それは変わりゆくものです。

そして注意したいのが、「自立」と「依存」が入れ替わるとき、それはその関係性にとって非常にデリケートなタイミングになる、ということです。

パートナーシップを、たとえにしてみますね。

昨日の記事でも、惚れた方が「依存」、惚れられた方が「自立」の立場になりやすい、と書きました。

「こんなにも、私があの人のことを想っていることを、あの人は知らない」

そんなことを感じる、「依存」の側。

「いつも愛情の確認をしてくるけど、そんなのは十分にしてるよ」

と感じる、「自立」の側。

この構図のままでいるときは、関係性は安定的です。

しかし、関係性が長くなってくると、この「自立」と「依存」がひっくり返るときが現れるんですよね。

よくある例でいえば、「依存」の側が、「あの人を好きかどうか、わからなくなった」と感じたり、あるいは別の人に惹かれたり、浮気をしたりするパターンです。

そうすると、もともと「自立」の側にいた方は、「依存」に叩き落されるわけですよね。

「前は、あんなに好き好き言ってきたのに、最近なんか冷たい…」

「私という存在がありながら、他の人と遊んでいたなんて!」

とまあ、そんな心境になったりもします。

こうなると、パートナーシップであれば、別れの危機が訪れるのは、目に見えていることでしょう。

その相手が会社であれば、仕事を辞めるとか、そういった選択肢も出てくるかもしれません。

 

「依存」と「自立」の立場が逆転するタイミング。

それは、ともすれば関係性が終わりを告げる可能性があるのですが、もう一歩踏み込んでみると、それは関係性をもっと深められるタイミングでもあります。

なぜなら、お互いがお互いの心境や気持ちを分かり合えるのが、そのタイミングだからです。

「いままで、こんな不安な気持ちで過ごしていたのか」

それまで「自立」のポジションにいた人は、そんなことを感じるかもしれません。

「私のことを頼りなく感じていても、それでも一緒にいてくれたんだな」

それまで「依存」の立場にいた人は、そんなことも感じるかもしれません。

「依存」と「自立」の立場が入れ替わるとき。

それは、関係性の危機となる場合も多いのですが、それを乗り越えたとき、その相手との関係性はより深く、強固なものになるのでしょう。

もちろん、それを選ぶかどうかの選択権は、自分自身にあるのです。

今日は、「自立」と「依存」が入れ替わるとき、というテーマでお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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