生きていく力と、生かされている力の両方が、私たちのなかにはあります。
その二つの力という視点から、「相互依存」という状態について考えてみます。
1.生かされていることに想いを寄せること
昨日の記事では、感謝とは生かされていることに想いを寄せること、というテーマでお伝えしました。
感謝することとは、生かされている力に想いを寄せること。 - 大嵜直人のブログ
「許し」や「手放し」のプロセスのなかで出てくる、「感謝」すること。
「この人と出会ったおかげで」
「あのできごとがあったおかげで」
そういった感謝の想いが自然と湧き出てくるようであれば、「許し」や「手放し」にずいぶんと近づいているといえます。
そのためには、やはり自分の感情を解放して、心のなかに余裕を持つことが大切です。
さて、そうした感謝は、「生かされている」ことに想いを寄せることでもある、というのが昨日のテーマでした。
生きていく力と、生かされている力。
その二つが共存しているのが、私たちです。
自分の力で、何かを成し遂げたり、何かをできるようになること。
そうした自分自身で生きていく力とともに、私たちを生かそうとする力が働いています。
それは、私たちの意志とは関係なく、常に降りそそいでいるものです。
感謝とは、そうした「生かされている」ことに想いを寄せる行為に他ならない、というのが昨日のテーマでした。
2.どちらかに偏るのが「依存」や「自立」
生きていく力と、生かされている力。
その二つの関係は、心理学的に見ると「依存」と「自立」の関係とよく似ています。
私たちの心は、「依存」から「自立」、そして「相互依存」へと成長していきます。
私たちは、まず最初は「依存」の状態からはじまります。
生まれ落ちた赤ちゃん、入学式を終えたばかりの小学生、初めて通うギター教室。
右も左もわからず、自分は何もできない状態。
それゆえに、誰かに何とかしてもらいたいというニーズが強く、主導権がまったく無い状態です。
この状態では、「生かされている力」にばかり意識が向いてしまうものです。
誰かに、なんとかしてほしい、という想いですよね。
しかし、こうした「依存」の状態は、自分のほしいタイミングで、そのほしいものがもらえるとは限りません。
それがしんどいので、私たちは他人に頼るのをやめて、自分でなんとかしようとします。
これが、「自立」の状態です。
「自立」になると、他人に対して要求をせずに、自分一人でなんとかしようとします。
そして、「依存」の時代に傷ついた分だけ、二度とそんな想いをしないようにと自分のなかでルールをつくり、これに強くこだわるようになります。
そのこだわりが、時に周りと人と衝突したり、葛藤を生んだりもします。
カウンセリングで扱う問題の多くが、この「自立」のプロセスの問題だったりします。
その「自立」の状態とは、先ほどの言葉でいうところの「(自分で)生きていく力」のみに強くフォーカスしているといえます。
生きていく力と、生かされている力。
どちらかに意識が偏ってしまうのが、「依存」と「自立」の状態です。
3.バランスが取れている「相互依存」
先ほど、私たちの心の成長プロセスは、「依存」から「自立」、そして「相互依存」に至ると書きました。
「依存」とは、生かされている力、言ってみれば他力に意識が向きすぎている状態。
「自立」とはその反対に、生きていく力、すなわち自力にばかりフォーカスしている状態。
その「自立」の先にあるのが、「相互依存」です。
これは、「自分でできることは自分でやり、自分にできないことは誰かを頼る」という、シンプルな状態です。
とはいえ、誰かを頼る、というのは「自立」的な人にとって、最大のタブーの一つですので、なかなかそこに至るのは難しいものですが…
それはともかくとして、「相互依存」の状態とは、Win-Winの関係性や対等性という表現がよくされます。
共同創造、共存、ともに生きる、といった言葉が、キーになります。
自分と、相手と。
そのどちらかが無理している状態ではなく。
お互いが、お互いを支え合い、助け合っている状態。
それが、「相互依存」です。
円のなかに白と黒の勾玉のような形が半分ずつになっている太極図も、その「相互依存」のイメージに近いように思います。
先ほどの言葉でいえば、「生きていく力」と「生かされている力」、その両方に自覚的であることが、「相互依存」の状態といえます。
自分の力の偉大さも、理解している。
そして、自分が自分以外から生かされている、ということも自覚てきている。
そのどちらかに偏ることなく、バランスよく成り立っている。
自分の力を自覚することも、もちろん大切。
その上で、「生かされている力」を想うとき、そうした「相互依存」の状態に近づけるように思うのです。
今日は、生きていく力と生かされている力という視点から、「相互依存」を考えてみました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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