親に限らずですが、誰かと「向き合う」というとき、それは「許し」と「手放し」のプロセスに向かうことを指します。
そうすることによって、相手は変わらずとも、自分自身が自由に生きられるようになります。
1.「親と向き合うこと」がなぜ必要か
昨日の記事では、なぜ親と向き合うことが大切なのか、というテーマでお伝えしました。
なぜ、「親と向き合うこと」が大切なのか? - 大嵜直人のブログ
カウンセリングにおいて、「親と向き合う」というテーマは非常によく出てくるものです。
「親と向き合う」ことが、なぜ大切なのかについて、昨日は少し触れてみました。
私たちは、生まれてはじめての他人との関係を、親と築いていきます。
多くの場合、一緒に過ごす時間が長いのは母親であるため、人間関係のモデルが母親との関係になる場合が多いものです。
そして、人間関係のみならず、あらゆる観念(仕事とは、家族とは、お金とは…)を、親から受け継いでいくものです。
これは、「親の真似をする」というケースもありますし、「あんなクソ親の言うことなんて聞かねぇ!」とばかりに反面教師にする場合も、同じことの裏表であるといえます。
そのため、親との関係のなかで生じた葛藤や不満、問題を、親以外の人に映し出すものです。
それは、距離が開いている人との間では出ないこともありますが、関係性が近くなるにしたがって、私たちは色濃く親との関係を映し出すものです。
知人、会社の同僚や上司、友人、子ども、そしてパートナー…関係性が近くなればなるほど、私たちは親との関係性や、そこで感じたものを投影しやすくなります。
だから、一見すると親とは関係のない問題であっても、その根っこには親との関係性が原因になっていることが多いものです。
だからこそ、カウンセリングでは親との関係性がよく出てくるものです。
昨日の記事では、そんな「親と向き合う」ことがなぜ大切なのか、というテーマをお伝えしました。
2.「向き合う」とは、結局「手放し」と「許し」
さて、「親と向き合う」ことが大切だと分かったとして。
「じゃあ、具体的には何すればいいの?実際に面と向き合えばいいの?」となりますよね。
もちろん、実際に顔を合わせることに意味が無いことはないと思います笑
だた、カウンセリングのなかで「向き合う」というとき、それは少し異なるニュアンスがあります。
自分自身の内面的な部分で、親と向き合うという意味ですが、最終的には「手放し」と「許し」という方向に、心を向けていくことを指します。
「許し」と「手放し」。
このブログでも、たくさんこれらについての記事を書いてきましたが、ごく端的に言ってしまえば、
「その相手のことを主体的に受け入れ、相手と間に起こったできごとや感情を、過去のものにすること」
と言えるでしょうか。
あ、短くないですね、すいません笑
もちろん、これは相手が親に限ったことではありません。
相手との間にわだかまりがあったり、言えなかったことがあったり、傷つけられたという想いがあったりして、それらが未消化なままでいると、その相手以外の人との関係性に影響を及ぼします。
「あんなことを言われた」
「こうしてほしかったのに」
「自分の気持ちを、わかってくれない」
そういった想いが、お腹のなかでとぐろを巻いた状態でいるわけです。
もし幸運にも、そうした想いを分かってもらえる人が現れると、いっときは満たされるかもしれません。
けれども、「でも、足りない」とばかりに、不足感や不満を覚えたりして、自分からその関係性を壊しにいったりしてしまいます。
結局のところ、根っこにある想いを昇華させる必要があり、それが「許し」であり「手放し」であるといえます。
3.相手は変わらず、自分が変わる
「許し」、あるいは「手放し」のプロセスは、自分の感情の解放からはじまります。
先ほど書いた、お腹のなかにとぐろを巻いている想いを、解放していくわけです。
それは、相手(親)にその想いや感情を直接ぶつける、ということではありません。
それを感じることで、自分の心に余裕をつくることが目的です。
自分の心に余裕ができると、相手のことを感情的に理解することができるようになります。
「あぁ、もし自分が同じ立場だったら、同じことをしたかもしれないな」
その想いが出てくると、相手やできごとに対しての感謝が芽生えてきます。
ごく大まかにいえば、「許し」や「手放し」は、そうしたプロセスをたどります。
では、そうすることで何が変わるのか?
親が謝ってくれたり、親の接し方が変わるのか?
と思われるかもしれませんが、相手は何も変わりません。
まあ、相手を変えることができるのは、魔法使いか何かくらいのものでしょう笑
しかし、このプロセスを踏むと、自分が変わるのです。
相手との関係を過去のものにすることで、いまを生きられるようになります。
いまを生きる、と書くとカッコよく聞こえますが、平たく言えば「気にならなくなる」と表現できるでしょうか。
「親なのにあんなことを言うなんて、やっぱりおかしい」
と、一日のなかで何度も考えていたり、
「こうしたら、イヤな顔されるだろうか」
と、自分がなにか行動する前に気になったり。
そうしたことが、少なくなっていきます。
ときには、「あ、そういえば」と思いだすくらいに忘れてしまっていて、意識しないこともでてくるのでしょう。
「忘却は癒し」と言われたりしますが、まさにその通りの状況になっていきます。
これが、「許し」や「手放し」の一つの到達点であり、「誰かと向き合う」ことの恩恵でもあります。
今日は、「親と向き合う」とは、何をすることか?というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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