「手放し」とは、執着を捨てるのでも、嫌いになるのでもなく、好きなままで距離を置く、というイメージです。
それは自分自身に自由を与え、相手の幸せを祈ることでもあります。
1.「許し」のプロセス
先日の記事では、「許し」のプロセスについてお伝えしました。
「許し」のプロセスの最後は、自分自身を許すこと。 - 大嵜直人のブログ
「許し」とは、起こったできごとやその相手を、自分自身が主体的に100%受け入れることを指します。
それにより、相手を責めることの罪悪感から自分を解放するという、大きな恩恵を与えてくれるものです。
そのため、このでいう「許し」とは、相手のために温情をかけてあげるというニュアンスではなく、何よりも自分自身のためにすること、という意味があります。
そのプロセスには、大きく分けて4つの段階があります。
- 感情の解放
- 感情的理解
- 感謝
- 恩恵を受けとる
まずは、自分自身の感情を解放すること。
そして、相手を「感情的に」理解していくこと。
そうすると、その相手やできごとに対して、感謝できるようになり、大きな恩恵を受けとることができます。
もちろん、こうしたプロセスは一朝一夕に済むものでもありません。
焦らずに、まずは「許す」と決めることから、プロセスを始めればいいのだと思います。
時にはネガティブな感情の揺り戻しにあったり、あるいは誰かの手を借りたりしながら、「許し」のプロセスは進んでいきます。
「許し」は、特定のできごとや、ある相手を対象にして始まります。
その対象は、変わっていくものです。
以前のパートナーであったり、両親になったり。
その行き着く先は、やはり自分自身だったりします。
もっとも許すことが難しいのが自分自身、とはよく言われるものです。
先日の記事では、そんなテーマをお伝えしました。
2.「許し」と「手放し」
さて、この「許し」と非常に似ているものに、「手放し」があります。
そのどちらもが、自分自身を解放する、という点で似ていると言えます。
「手放し」とは、文字通り、握っている手を離すようなイメージの心のはたらきです。
別れたパートナーや、家族との関係、あるいは失敗した過去のできごとについて、私たちは執着してしまいます。
心のなかで、ぎゅーっとその相手を握ってしまって、離せない。
誰もが、そんな状態になってしまったことは、あることと思います。
そうした執着から自分を解放するのが、「手放し」です。
それは、「自分自身に自由を与えること」といえます。
自由とは、選択肢があることを指しますが、執着している状態だと、選択肢がないんですよね。
心の中でずっと握りしめている相手がいるわけですから、いっつもその相手のことを考えていないといけない。
それは、苦しいですよね。
そうした相手に対する執着を、そっと緩めるのが「手放し」です。
この「そっと」というのが、ポイントです。
私たちは、執着がしんどいと、「もう、あんな相手のことは知らん!」とばかりに、無理矢理に忘れようとしたりします。
さしずめ、握りしめていたものを、思い切りぶん投げてしまうような、そんな感じでしょうか。
しかし、こうした試みは、なかなかうまくいかないものです。
気づくと、またそれを握りしめている自分がいたりして、辟易したりしますよね笑
「手放し」とは、忘れるわけでも、無理矢理に捨てるわけでもありません。
ただ、握りしめていた手を、そっと開くイメージです。
開いたあと、その相手がどこに行こうとも、相手の自由です。
相手に自由を与えることは、同時に自分自身にも自由を与えてくれます。
その手を、もう一度握りしめてもいい。
その手で、別の何かをつくりだしてもいい。
その選択肢は、自分のなかにあります。
これが、「手放し」のイメージです。
3.好きという気持ちをもったまま、距離を空ける
「手放し」もまた、「許し」と同じように、相手に対して感じている感情を解放していくことから始まります。
ネガティブな感情を吐き出した先にある、自分の気持ち、あるいは本音。
それを、残していくイメージです。
「好きという気持ちをもったまま離れる、距離を空ける」
「手放し」を、そんな風に表現をすることもあります。
私たちは、好きという気持ちを抱いている相手には、どうしても近づきたくなりますし、自分の思い通りになってほしいものですし、コントロールしたくもなります。
この好きが裏返ってしまって、「大嫌い」になっても、同じですよね。
「手放し」とは、そうした執着から、自分と相手を解放していくことを指します。
好きという気持ちをもったまま、離れる。
そうすることで、相手との関係性を過去のものにして、お互いに自由を与えていくわけです。
もちろん、そこから新しい関係性が築かれることもあります。
お互い、別々の道を歩くこともあります。
それは、手放した先でしか、分かりません。
ただ、そのいずれの場合であっても、きっと相手の幸せを祈っていることには、変わりないのでしょう。
「手放し」の先には、そんな世界が広がっています。
今日は、「許し」と似ている「手放し」のイメージについて、お伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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