「親と向き合う」ことは、自分のなかにある意味付けを変えていける、大切なプロセスです。
しかし、それ自体を目的にしてしまうのではなく、その先にあるものを見失わないようにしたいものです。
1.「向き合う」とは許し、手放していくこと
昨日の記事では、「(親と)向き合う」とは、具体的に何をすることか?というテーマでお伝えしました。
「親と向き合う」とは、何をすることか? - 大嵜直人のブログ
「親と向き合う」とは、カウンセリングのなかでもよく出てくるテーマです。
その対象は親が多いものですが、別れた恋人だったり、あるいはきょうだいだったりもします。
この「向き合う」とは、具体的には何をすることなのか?というのが、昨日のテーマでした。
端的にいえば、「向き合う」とは「許し」、そして「手放せる」ように心を向けていく、という意味があります。
それまで起こったできごとを、主体的に捉え直すことで、その相手を受け入れていく。
そして、その相手への執着を手放していく。
そうすることで、誰かを責める罪悪感から解放し、被害者の立場から抜け出し、自分の生を全うできるようになっていく。
それが、「向き合う」ということのイメージです。
そのため、「向き合う」とは、徹頭徹尾、自分自身のためにすることであり、相手の反応や動向は関係がありません。
たとえばパートナーシップの関係性のなかで、
「彼がちゃんと向き合ってくれなくて…」
そんな弱音を吐きたくなることも、あるかもしれません。
けれども、たとえそのように見えたとしても、ここでいうところの「向き合う」ことにおいては、その見方はあまり意味を成しません。
「向き合う」かどうかは、自分自身が決めることであり、自らの内面のなかにおけることだからです。
だから、もし「向き合ったのに、親は何も変わらなかった」と感じるとしたら、少し「向き合う」意味が違っているのかもしれません。
「向き合う」とは、時に厳しく聞こえるのかもしれませんね。
2.自分のなかでの意味付けを変えること
「向き合う」こと、ひいては「許し」も「手放し」も。
究極的には、相手の言動や反応、あるいは変化などとは、関係のないことです。
あくまで、自分のなかにおける、その相手の意味付けが変わること。
「あんなことを言うなんて、人としておかしい。いくら親だろうと、絶対に許せない」
そんな風に感じていたことが、
「あのとき、こんな気持ちだったのかもしれないな。もし自分がその立場だったら、同じことを言ったかもしれないな」
そんな意味付けに変わることが、「許し」。
「寝ても覚めても、あの人のことばかり考えてしまう。以前に言われたことを思い出してしまうし、相手がそれをどう考えているか気になる」
そんな風に感じていたのに、
「そういえば、あの人のことを思い出す時間が減ったな。あの人、元気にしているかな」
という感じに、ゆるんでいくように。
自分のなかの意味付けが変わると、自然とその相手との関係性も変わっていきます。
いや、変わらざるをえない、と言った方がいいでしょうか。
過去のできごと、あるいは過去の関係性に縛られていた自分から、「いま」の自分にとって心地のよい関係へと、変化していくわけです。
「向き合う」ことの先には、そんな変化が待っています。
3.目的ではなく、手段
このように、「〇〇と向き合う」ことは、非常に多くの、そして大きな恩恵を与えてくれます。
もちろん、そのプロセスのなかでは、見たくもなかった自分の感情や、隠しておきたかった本音といったもので出くわしたりすることも、あるのでしょう。
そして、「許し」にせよ、「手放し」にせよ、一朝一夕で終わるプロセスではありません。
「昨日向き合ったから、もう終わり!」
みたいなお手軽なことには、ならないわけです。
それが、自分の生にとってのキーストーンであるがゆえに、時間がかかるものですし、行ったり来たりしながら、ゆっくり進むこともあるのでしょう。
だから、焦らなくてもいいものですし、しんどいのに無理をして向き合い続けなくてもいいとは思います。
あくまで、「〇〇と向き合う」ことは、自由に、そして自分らしく生きるための手段の一つです。
「向き合う」ことを、目的にしてしまわないことです。
その相手(たとえば親)と向き合うことは、とても大切な意味があります。
けれども、その向き合うこと自体が、生の目的ではないはずです。
そこは、見誤らないようにしたいものです。
あくまで、向き合うのは自分の生のため。
向き合うこと自体を目的にするのではなく、その先にある、自分がこの人生で成し遂げたいこと、大切にしたいこと、愛したい人。
それを、忘れないようにしてくださいね。
今日は、「向き合う」ことは目的ではなくて手段、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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