母の命日に、ふと寂しさと罪悪感を、まだ握りしめている自分に気づく。それがなくなってしまったら。 それがなくなってしまったら、母を、忘れてしまうような気がするから。寂しさと、罪悪感で、故人とつながろうとしているのかもしれない。
ときに、近い存在ほど、 自分の中にない選択肢を示してくれる。そのどちらが正しいとか、優れているとか、間違っているとか、そういう話でもない。そこには、ただ、違いがあるだけ。その違いがあることを、認めるだけ。
いつもの通り道、ふとしたピンク色に気づく。いつもと違う、まんまるとした、やわらかな蕾、やさしい色合い。
手桶を返して見上げた空は、先ほどとずいぶんと模様が変わっていた。雲は、あんなにも早く流れるのだな、などと思った。
春が流れ、過ぎ去っていく。そこに、何かが残るとしたら。その春を愛でる、わたし、という自己のようにも思う。
ときに心配しながらも、季節の流れを見つめ、身をゆだねること。それを、ときに信頼と呼ぶのだろう。
断酒して853日が経過した。どうも「決める」というより、「あきらめる」という方が、ものごとが決まり、流れていくような気がする。