大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

相手を「信頼」すること、「期待」することは、何が違うのだろうか?

「信頼」と似て非なるものに「期待」があります。

その二つには、自分とつながっているのか、現実と向き合えているのか、という違いがあります。

1.「祈り」と「信頼」

昨日の記事では、「祈り」と「信頼」というテーマでお伝えしました。

「信頼」は「祈り」と似ていて、裏切られることはない。 - 大嵜直人のブログ

執着を手放していくと、その相手の幸せを祈ることができたり、そのできごとやものごとに感謝する時間が増えていきます。

「あの人が、いま笑顔でいるといいな」、といった具合に。

そうした「祈り」は、何か具体的な結果や成果、あるいは相手の反応を期待しないものです。

ただ、祈るだけで、自分の心が満たされ、幸せを感じることができる。

それが、「祈り」です。

もちろん、見返りを求めてしまうのも、自分の思い通りの結果が欲しいのも、相手に期待してしまうのが、私たち人間です。

はい、私もです笑

そうした執着から離れるのが「手放し」であり、「許し」という心のはたらきなのでしょう。

この「祈り」は、「信頼」とよく似ています。

「信頼は裏切られることはない」と、心理学では言われます。

もし裏切られたと感じるのであれば、それは自分が相手に期待をしていただけであり、真に「信頼」ができているならば、相手の動向によって「信頼する・しない」を判断することはないからです。

このあたり、一般的な日本語の意味での「信頼」とは、ちょっと違いますよね。

2.「信頼」と「期待」の違い

今日は、そんな「信頼」について、もう少し深く見ていきたいと思います。

「信頼」と似て非なる心の動きに、「期待」があります。

心理学の格言に、こんなものがあります。

「期待は裏切られるが、信頼は裏切られることはない」

この格言は、「期待」と「信頼」の違いを端的に教えてくれます。

まず「期待」とは、自分の欲求の表現方法を変えたものです。

「こうしてほしいな」という、相手に向けた欲求。

それを、直接相手に伝えるのではなく、「こうしてくれたらいいな」と秘めた状態で自分のなかに抱くこと。

これが、「期待」です。

しかし、相手がテレパシーでも使えない限り、自分の内面を察してはくれないものです。

はい、「こうしてほしい」ならば、「こうしてください」と言葉にして伝えない限り、それは伝わらないものです。

たまたま偶然、そうしてくれることがあったとしても、多くの場合はそうした欲求の通りにはならないものです。

「期待は裏切られる」の法則です。

これ、相手の心情の機微を察する能力が高い人ほど、このパターンに陥ることが多かったりします。

なぜなら、「これくらい、言わなくてもわかるでしょう?」と、自分ができることは相手もできるはず、と「投影」してしまうからです。

一方で「信頼」は、それとは異なります。

別に、「こうしてほしい」ということを、相手に伝えることが「信頼」である、というわけではありません。

相手に伝えるのか、伝えないのか。

それを自分で選んで、その結果の相手の反応を受け入れることができるのが、「信頼」です。

「伝える」のも、一つの選択です。

伝えた結果として、相手がそれをしてくれなかったとしても、相手にはそれができない事情があったのかもしれないし、自分の伝え方が悪かったのかもしれない、ととらえることができます。

だから、裏切られたと感じることはないわけです。

「伝えない」のもまた、一つの選択です。

伝えるタイミングじゃないのかもしれませんし、伝えられる自分になるまで待つ、という選択もあります。

いずれの選択をしたとしても、相手の反応や動向に、「裏切られた」と感じることはないのが、「信頼」です。

3.地に足がつき、自分とつながっているのが「信頼」

「期待」しているとき、私たちはどこか、自分の空想の中に逃げてしまっているのかもしれません。

現実と向き合うことが、できていない状態とも言えます。

一方で「信頼」とは、現実と向き合えている状態です。

地に足がついている、とも表現できるでしょうか。

じゃあ、地に足がついているって、なんだろう?と考えると、ひとえにそれは「自分とつながっている」なのだと思うのです。

自分の感情と丁寧に向き合い、自分と相手との境界線を引けていること。

自分を「信頼」している状態、とも言えます。

「相手を信頼する」とは、「自分を信頼する」ということと、同義なのでしょう。

自分とつながり、自分を信頼していればこそ、相手の反応や動向、ものごとの結果に、ぶれることはありません。

もちろん、一喜一憂くらいはしてしまうのが、人間ですけれどね笑

ただ、自分自身とつながり、「信頼」ができているとき。

相手の動向や反応は、不思議と気にならなくなるものです。

「それなら、私はどうするか?」という捉え方で、考えられます。

「信頼は裏切られることはない」というのは、こうした意味からなんですよね。

もちろん、そうはいっても、私たちの心は、日々変化しますし、相手の動向や結果に揺れたりするものです。

それは、当たり前です。

そこで、何度でも自分の心に帰ってくること。

つながり直すこと。

それができれば、「信頼」は裏切られることはありません。

 

もしも、あなたが裏切られたと感じることがありましたら。

それは、あなたが自分とつながり直すことができる、チャンスであるともいえるのでしょう。

今日は、「信頼」と「期待」の違い、というテーマにしてお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

〇大嵜直人のカウンセリングの詳細・お申込みはこちらからどうぞ。

※ただいま5月度の個人カウンセリングを募集中となります。

〇カウンセリングのご感想のまとめはこちら。