朝の梅雨空の下、道すがら。
紫色の小さな花が揺れていました。
ぽつぽつと降り出した雨に、その花びらは雫をたたえていました。
雫は丸い鏡のように、小さな世界を映し出していました。
この花の名前は何だろう。
6月に咲く花を検索してみる。
アガパンサス。Agapanthus。
語源は、ギリシャ語の「agapa(愛らしい)」と「anthos(花)」を組み合わせ
た名前だそうだ。
別名、紫君子蘭。
または、アフリカンリリー(African lily)。
6月29日の誕生花で、花言葉は「知的な装い」。
初めて目にする知識に、また世界は豊かになる。
少しずつ季節の草花の名前を覚えてみようか、と思う。
アガパンサス。
そう呼びかけると、心なしかその花は頭を垂れたような気がした。
名前とは不思議だ。
草花の名前もそうだが、自分の名前もまた不思議だ。
誰しもが、生まれたとき、物心ついたときにはすでに自分の名前を持っている。
エゴや我が全く介入しない領域。
「問題」と同じで、その人の人生の「設定」。
それは、その人「そのもの」。
そこには、たくさんの愛された記憶が宿っている。
きっと大きな喜びのなかで、その名前は付けられた。
名前を知ることは、世界を知ること。
それは、きっと自分を愛すること。
今日もお越し頂きまして、ありがとうございました。
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