朝の外気が、少し変わったようだった。
夏が本気を出しすぎたような、体温を超える危険な暑さの日が続いていたが、昨日の夕方に降った夕立から、何かが変わった。
打ち水をしたように、ぎらつくような外気温が少し引いたような。
気づけば、今日は「処暑」。
暑さもひと段落して落ち着く時候。
朝夕に涼しさの気配が感じられ、秋の虫の声が聞こえ始め、そして台風の季節でもある。
つくづく、季節のめぐりというのはよくできている。
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暇を持て余した息子と娘と、近くのプールへ行ってみる。
みな同じことを考えるものか、なかなかのにぎわいだった。
日に焼けた肌がふくらんで、もう少ししたら剥がれそうになっていた。
きもちわるい!と息子にはさんざんな言われようだったが、夏の終わりを感じさせるようで、もの悲しくなる。
プールの端で、ぷかぷかと浮かんで、ぼんやりとしてみる。
縁のところの排水口に、ざぶざぶとプールの水が流れていった。
そういえば、小さいころのプールで、よくその光景を眺めていた。
どうして、こんなにたくさんの水が流れていくのに、プールの水はなくならないのだろう。
そんな、どうでもいいことを考えていたことを思い出す。
苦手な、プールの特別講習のときだったのかもしれない。
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帰り道、空を見上げた。
どこか澄んだ、秋の色を孕んでいた。
息子が、蝉の声があまり聞こえない、と寂しそうにつぶやく。
言われてみれば、ついこの間まで、あれほど煩く騒いでいた蝉の声が、止んでいた。
かすかに、アブラゼミの鳴き声が聞こえるくらいだった。
暑さも、止む。
夏が、過ぎゆく。