大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

暑さも止む、夏が過ぎゆく。

朝の外気が、少し変わったようだった。

夏が本気を出しすぎたような、体温を超える危険な暑さの日が続いていたが、昨日の夕方に降った夕立から、何かが変わった。

打ち水をしたように、ぎらつくような外気温が少し引いたような。

気づけば、今日は「処暑」。
暑さもひと段落して落ち着く時候。

朝夕に涼しさの気配が感じられ、秋の虫の声が聞こえ始め、そして台風の季節でもある。
つくづく、季節のめぐりというのはよくできている。

暇を持て余した息子と娘と、近くのプールへ行ってみる。
みな同じことを考えるものか、なかなかのにぎわいだった。

日に焼けた肌がふくらんで、もう少ししたら剥がれそうになっていた。

きもちわるい!と息子にはさんざんな言われようだったが、夏の終わりを感じさせるようで、もの悲しくなる。

プールの端で、ぷかぷかと浮かんで、ぼんやりとしてみる。

縁のところの排水口に、ざぶざぶとプールの水が流れていった。

そういえば、小さいころのプールで、よくその光景を眺めていた。

どうして、こんなにたくさんの水が流れていくのに、プールの水はなくならないのだろう。

そんな、どうでもいいことを考えていたことを思い出す。

苦手な、プールの特別講習のときだったのかもしれない。

帰り道、空を見上げた。
どこか澄んだ、秋の色を孕んでいた。

息子が、蝉の声があまり聞こえない、と寂しそうにつぶやく。

言われてみれば、ついこの間まで、あれほど煩く騒いでいた蝉の声が、止んでいた。

かすかに、アブラゼミの鳴き声が聞こえるくらいだった。

暑さも、止む。

夏が、過ぎゆく。 

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