大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

見上げれば。

時候は「霎時施/こさめときどきふる」。

なれど、晴れの日が続く。

見上げれば、秋の空。

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綿のような雲に、秋の陽射しが色を差して。

このやわらかな陽射しの色は、秋の色。

どこかやさしく、どこかあたたかく。

それでいて、どこか寂しく。

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だいだい色の、おおきな生きもののような。

おおきなかいぶつのようでいて、
あたたかくつつむやさしさのようでもあり。

秋の夕べはつるべ落とし。

いつの間にか、夕闇の帳が降りて。

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見上げれば、月。

聞けば、今夜は十三夜。
秋の月見といえば十五夜だが、旧暦9月13日の月も古くからある月見の夜だそうだ。

十五夜からひと月遅れに続く月とのことで、「後(のち)の月」とも呼ばれる。
十五夜とはまた違う、まだ満ちていない、不完全な月。

これから満ちる、美しき月。
不完全さこそ、美しい。

満月、そして十六夜もまた、楽しみに。

見上げれば、秋。
見上げれば、月。

満ち足りない、不完全さこそ、美しい。

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