時候は「霎時施/こさめときどきふる」。
なれど、晴れの日が続く。
見上げれば、秋の空。
綿のような雲に、秋の陽射しが色を差して。
このやわらかな陽射しの色は、秋の色。
どこかやさしく、どこかあたたかく。
それでいて、どこか寂しく。
だいだい色の、おおきな生きもののような。
おおきなかいぶつのようでいて、
あたたかくつつむやさしさのようでもあり。
秋の夕べはつるべ落とし。
いつの間にか、夕闇の帳が降りて。
見上げれば、月。
聞けば、今夜は十三夜。
秋の月見といえば十五夜だが、旧暦9月13日の月も古くからある月見の夜だそうだ。
十五夜からひと月遅れに続く月とのことで、「後(のち)の月」とも呼ばれる。
十五夜とはまた違う、まだ満ちていない、不完全な月。
これから満ちる、美しき月。
不完全さこそ、美しい。
満月、そして十六夜もまた、楽しみに。
見上げれば、秋。
見上げれば、月。
満ち足りない、不完全さこそ、美しい。