時に寒露。
朝晩の冷え込みが感じられ、露が冷たく感じられる時候です。夜がだんだんと長くなりますが、日中は涼しく、過ごしやすい気候が続くころでもあります。
七十二候では、鴻雁来(こうがんきたる)。
日本で冬を過ごすために、雁が来たからやってくる時候だそうです。これと入れ違いに、ツバメが南の暖かい国へと渡っていくそうです。
見上げれば、秋らしいうろこ雲が多く見られるようになりました。
この空のどこかで、長い長い距離のお引越しをしている鳥たちがいるのでしょうか。
去っていくツバメなどは、暖かい東南アジアの国々に渡っていくと聞きます。
何百キロ、何千キロという途方もない距離を飛んでいく、鳥たち。
地図もコンパスも持たずに、生命の力というのは、すごいものです。
どうか、無事に。
姿の見えない鳥たちに向けて、そんな言葉が浮かびます。
それにしても、涼しく過ごしやすい季節になりました。
寒露の風に吹かれながら、足元の花を眺めて。
紫の花が、風に揺れていました。
古来より、高貴な色とされてきた紫。
どこか、この秋の風と合っているような気がします。
気温の高さとしては、春先と同じなのかもしれないのですが。
どこか、この秋の風の感じは、春とは違うようです。
澄んでいるというか、その風に触れていると落ち着くようです。
風が止み、満ち足りたお顔を眺めながら。
あらためて、季節の移ろいと、この時期だけの心地よい風を、存分に味わっていました。