さまざまな問題の原因にもなる「自立」ですが、ポジティブな面もあります。
自分の足で立ち、その手に何ができるのかを考えられる恩恵であり、それを通じて人は周りの人に「与える」ということができるようになります。
名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。
1.人間関係で最高のものがほしいなら、最高のあなたを与えなさい
その関係に何を与えるかで、逆に、あなたが何を受けとるかが決まります。
最高のあなたを与えれば、相手の最高の部分にふれ、それを楽しむことができます。
それ以外では開かない扉が開くのです。
そして、その関係のなかに新しい才能、もち味、楽しさがあらわれれる機会となるのです。
「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.243
2.「自立」のポジティブな面について
ジョン・F・ケネディ大統領の就任演説から
今日のテーマは、かの有名なアメリカのジョン・F・ケネディ大統領の就任演説を思い出させますね。
だから国民諸君よ。国家が諸君のために何ができるかを問わないで欲しい――諸君が国家のために何ができるのかを問うて欲しい。
世界の市民諸君よ。米国が諸君のために何ができるかを問うのではなく、我々が人類の自由のために共に何ができるのかを問うて欲しい。
国家のあり方、社会のありようは、ケネディ大統領の時代から大きく変わりました。
しかし、ケネディ大統領が言わんとしたことは、いまなお普遍的な力を持っているように感じます。
すなわち、「自立せよ」というメッセージです。
国家に隷属することなく、アメリカに依存することなく、個としての自己を確立せよ。
すなわち、自立せよ、と。
自らの足で立ち、その手で何ができるのかを、自分の頭を使って考えよ、と。
この「やさしい心理学」のなかでは、「自立」はさんざん扱ってきました。
さまざまな問題の源泉として、「自立の問題」があります。
それをずっと読んでいると、「自立はよくない」という印象を受けてしまうかもしれません。
かくいう私も、書きながら「うへぇ、また自立の問題がテーマか」と、自立を問題のデパートのように感じてしまうこともあります笑
しかし、問題になるのは「行き過ぎた自立」です。
どんな場面でも、人の成長とは「依存」から「自立」に移行することから始まります。
今日は、もう一度「自立」の価値を見直してみては、いかがでしょうか。
まったく関係ないのですが、あらためてケネディ大統領の就任演説の全文を読み返しましたが、格調高い、素晴らしい演説ですね。
冷戦という緊張の中にありながらも、進歩と希望を信じられた時代の、熱いエネルギーを感じます。
一つの時代の象徴なのでしょうね…と、すいません、本線と関係のないお話でした。
自立の価値とは
さて、本線に戻りますと、「自立」の価値をもう一度、認識してみましょう、ということでした。
私たちは、「私には何もできないから、誰か何とかしてほしい」という「依存」の状態からはじまります。
生まれ落ちたときもそうですし、入学や就職、引っ越しといった、新しい世界に入るときもそうです。
しかしそれは、主導権を自分以外の誰かに明け渡してしまっているので、非常にしんどい状態でもあります。
そして、いくら与えられても、「まだ足りない」と不足を感じる状態でもあります。
そして、その「依存」の時代にしんどかった分、人は「自立」していきます。
「自分で何でもやる」ということを目指す状態ですね。
これはポジティブな面と、ネガティブな面の両面があります。
「どうせ誰も助けてくれないから、一人でやるしかない」、
「他人を頼ってはいけない」、
「自分が頑張らないと、見捨てられる」、
といった、怖れや怒りをベースにした「自立」が、ネガティブな自立です。
一方で、ポジティブな自立とは、自分の足と手を使ってできることに、喜びを感じるものです。
「一人で頑張ってみたい」、
「自分で何とかしてみたい」、
「自分の手で挑戦してみたい」、
といった、前向きな想いをベースにしているものが、ポジティブな「自立」です。
この「やさしい心理学」でよく問題として挙げているのは、ネガティブな自立の方ですね。
しかし、「自立」にはポジティブな面もあることを、忘れないようにしたいものです。
それは、自分の足で立ち、誰かに与えることができること。
それは、本当にすばらしいことです。
まさに、先ほどのケネディ大統領の演説の通りですよね。
3.毎日「最高」な自分を与えるためにる
「与える」ことが、喜びなっているか?
さて、「自立」のポジティブな価値を見てみました。
今日の引用文では、他人に何を与えるかで、自分が何を受けとれるかが決まる、と言っています。
これはパートナーシップでもそうですし、ビジネスの関係でもそうですし、コミュニティなどに対しても、同じことなのでしょう。
「ペイフォワード」という言葉もありますが、「まずは与える」という姿勢が、めぐりめぐって、自分のためになる。
それは、普遍的な真理なのでしょう。
しかし、「与える」とが喜びになっているかどうかは、折に触れてチェックした方がよさそうです。
そこで無理をして与えていると、ネガティブな「自立」の罠に陥ってしまいますから。
もちろん、100%ポジティブ、100%ネガティブということもないのでしょう。
人の心模様は、いつもまだらなのですから。
しかし、ネガティブな割合が多いことが続いて、しんどくなってきたら、要注意です。
「最高の自分」は、その日によってちがう
最後にですが、引用文にある「最高のあなたを与えなさい」という言葉に寄せて、少しお伝えしたいと思います。
日々、最高の自分を、世界に与える。
それは私たちに課せられた、大切なミッションです。
しかし、「最高の自分」とは、どんな自分でしょう。
「最高」とは、これ以上ない、最も高い、という意味です。
しかし、それを「歴代最高の」「過去最高の」とは考えなくてもいいと思うのです。
「最高の自分」は、毎日変わる。
その日の体調、抱えている仕事、その日の予定…いろんな要素で、「最高の自分」は変わります。
その中で、「これまでで最高の自分」を与えないといけない、と考えると、結構なプレッシャーになってしまいますよね。
そして、それができないと、自分を責めてしまったりするかもしれません。
それは、とてもしんどいことです。
「最高の自分」は、「その日の最高の自分」でいいと私は思うのです。
今日の自分に出せる、「最高の自分」。
見くびらず、かといって無理しすぎず。
それを見極めることも、とても大切なことだと思います。
「与える」ということは、かくも奥深いもののようです。
今日は「自立」のポジティブな面と、最高の自分を与えるためのヒントについて、お伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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