過去のできごとで感じた痛みや傷が、いまの人間関係に影響をおよぼすことがあります。
それは見方を変えれば、これから癒すことのできる部分であり、それゆえに「幸せへの伸びしろ」でもあるのでしょう。
名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。
1.仲たがいの原因は、過去の心の傷にある
私たちは自分自身を「守る」ために仲たがいをするのです。
仲たがいでは、二人の人間が両極に分かれます。
そのときの相手のふるまいは、以前あなたの心が傷ついた原因と同じものです。
表面的には同じように見えなくても、何かしら過去の、その状況を思い起こさせる象徴的な出来事であり、本質的な共通点があるのです。
あなたが相手の人に近づきたくないのは、じつは自分の昔の傷に近づくのがいやだからです。
そこに入ってしまったら同じことがくりかえされるのではないか、そして、また傷つくのではないか、とあなたを怖れているのです。
「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.281
2.過去の痛みが、いまの人間関係に影響を与える
今日のテーマは…一言では難しいですね。
過去の傷や痛み、ということにはなりそうですが、「投影」から考えることもできそうです。
過去の傷や痛みをくりかえす
人間関係で葛藤や対立が起きるとき。
自分と正反対の考え方や行動を、相手は取ったりします。
それが、どうしても受け入れられなかったり、その言動で傷ついたように感じたりします。
「なんで、そんなことを言うんだろう」
「あんなことをするなんて、信じられない」
親しくなればなるほど、そんな風に感じることもありますよね。
そうした情感を抱くとき、それは自分のなかにある「過去の傷や痛み」が繰り返されている、というのが今日のテーマです。
その多くは、小さいころ、家族のなかで経験した痛みであったり、傷であったりします。
表面に見えている事象は、それとはまったく関係がないように見えるかもしれません。
けれど、そこで感じる痛みの種類が同じ、という場合があります。
いまの恋愛で感じている感情が、実はその前の恋愛で抱えていた感情であったり…それを掘り下げていくと、幼い頃に両親との関係の中で感じていた感情であったりします。
こうしたことは、カウンセリングのなかでも、よく出てくるテーマでもあります。
自分の中の癒えていない傷を、相手に映し出すから痛い
これは、自分自身のなかの「パターン」や「観念」が固定化されている、という見方ができます。
それとともに、もう一つの見方が、「投影」という見方です。
私たちは、自分の心のなかにあるものを、まわりの世界に映し出します。
それは、寂しさや愛おしさといった感情を映し出すこともありますし、過去に出会った人を、いま目の前の人に映し出したりもします。
たとえば、過去のできごとで感じた、痛みや傷があったとして。
その傷が癒えていないと、私たちはその傷を周りの世界に映し出します。
それが、近い相手であればあるほど、色濃く映し出されたりします。
自分のなかにある心の「傷」を、相手に「投影」する。
過去の傷や痛みが、いまの人間関係やパートナーシップに影響を与える、ということは、こんな見方からも説明することができます。
3.問題の根っこは、どこだろう。
さて、ここまで見てくると、結局はいつものごとく、「自分を癒しましょう」「自分と向き合いましょう」というお話になるのは、ご想像の通りかと思います笑
それはもちろん、いつでも真実なのですが、今日は少し違った視点からお伝えしてみたいと思います。
それは、「問題の根っこ」という視点です。
いまのパートナーシップや人間関係で、仲たがいしたり、葛藤を感じている部分があったとしたら。
その感情は、どんな痛みなのかを、感じきってみてください。
そして、以前にどこかで、それを感じたことがなかったのか、自分自身に問いかけてみてください。
凍えるような、寂しい想い。
胸が張りさけるような、つらい想い。
どうしようもなかった、無力感。
自分なんかいない方がよかったという、しんどい気持ち。
それらを感じたのは、いつだったでしょうか。
それは、どんなできごとが起きたときだったのでしょうか。
その部分はおそらく、まだ癒されていない部分です。
そして、できることならば。
そのできごと、そのとき感じたこと、それがどんなものだったのかを、相手に伝えてみてください。
そのコミュニケーションは、過去のできごとと痛みを、癒してくれます。
それは、パートナーシップのような関係性でこそ、できることでもあります。
癒されていないことが、悪いことでも何でもありません。
それは、これから癒せる部分であり、それゆえに「幸せへの伸びしろ」ともいえるのでしょう。
今日は、過去の傷や痛みについて、お伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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