今日は、断酒にまつわるお話を。
お酒一つをとっても、人の心理というのは面白いものです。
断酒するに至った心理
ここのところ書いていませんでしたが、私はずっとお酒を飲んでいません。
「断酒」という決心をしたのが、2018年の11月のことでした。
それから考えると、もう4年と2か月ほど、継続していることになります。
それまでは、お酒が大好きで、よく飲んでいました。
飲んでいた当時の私を知る人から、「なんでやめたの?」とよく聞かれるのですが、これがあまり明確な答えがないんですよね。不思議なことに。
振り返ってみれば、当時の私の飲み方といのは、「お酒で寂しさを散らす」飲み方でした。
お酒そのものの味や雰囲気を楽しむよりも、「酔う」ことを目的にしているような。
もちろん、お酒を飲むというのは、その両方の目的があるのでしょうし、どちらがいい、悪いという話でもありません。
ただ、当時の私は、自分の心と向き合う中で、しんどい時期だったのは確かです。
お酒に逃げていた、という面は多分にありました。
まあ、誰にだって、「飲まないとやってらんねぇ」というときは、ありますよね。
いやな感情と向き合うかわりに、強いお酒でそれを散らす。
酔っている間は、そうした感情を忘れることはできるかもしれませんが、そのかわりにやってくるのは、翌日のひどい二日酔いです。
ほんと、あの頭痛と気持ちの悪さといったら、ないですよね…
ただ、だからといって「お酒はあかん、もうやめよう」と思ったかというと、そうでもないんですよね。
思い出すのは、11月の冬の気配の感じる肌寒い、霧のような小雨が降る日でした。
息子と娘といっしょに、近所の川に棲むカメに、パンをあげにいったときでした。
ぽいぽいとパンをカメにあげる息子と娘のすがたを、ぼーっと眺めながら、「あ、お酒をやめたら、どうなるかな」という気持ちが湧いてきたのを、覚えています。
そのふと湧いてきた感覚に従ってみた、というのが、断酒の理由としては近いようです。
これを言うと、「そんなんで、大好きなお酒をやまないでしょう」と訝しがられるのですが、実際にそうなんです。
ただ、そんなふとした感覚に従ったことは、実に多くのことを私に与えてくれました。
改めて考える、断酒の効用とデメリット
断酒をして、4年が過ぎて。
あらためて、私に訪れた変化について、振り返ってみようと思います。
まずは、そのメリットから。
断酒のメリット、効用
まずは、あの地獄の釜の蓋を開けたような、二日酔いの朝を迎えなくて済むようになったことでしょうか。
「そんなの、飲み過ぎないようにすればいいだけじゃんか?」
と思われるかもしれませんが、それができなかったんですよね、飲んでいた時の私は笑
ついつい、飲み過ぎてしまう。
その場が楽しいから、それはそれでいいのでしょうけれども、体質的にそれほどアルコールに強いわけでもありませんでしたので、翌日の朝は地獄でした、はい。
二日酔いがなくなったことは、一つの大きな恩恵でした。
そして二つ目は、睡眠の質が格段に上がったことでしょうか。
お酒が入っていると、どうしても睡眠が浅くなっていました。
寝入りはいいんですけど、夜中や明け方に起きてしまったり。
それが、アルコールが入っていないと、ものすごく「ぐっすり」眠れるんですよね。
「睡眠は最高の癒し」という言葉がありますが、睡眠の質が上がったことは、私のメンタル面の安定に非常に大きな影響を与えてくれていると思います。
朝起きづらいということが、お酒を飲んでいたときに比べて、格段に減りました。
これは、非常に大きな断酒の恩恵だと感じます。
三つ目は、デメリットと合わせ鏡なのですが、「自分の時間が増えたこと」でしょうか。
飲み会が少なくなり、一人で飲むこともなくなると、夜が長いんですよね。
断酒をしてしばらくは、夜に「うわ、めっちゃヒマ…何しよう…」と感じていたのを、覚えています。
早く寝るでもよし、ブログを書くでもよし、本を読むもよし、だらだらするもよし…
お酒とともにあった時間が、しらふで過ごす時間に化けたのですから、それは大きな変化だったように思います。
断酒のデメリット
さて、その一方で、断酒のデメリットはなんだろうか、と考えてみました。
まず一つ目は、飲み会が減って、出不精になったことでしょうか。
全然、飲まなくても飲み会が楽しいのですが、やはりお酒を飲んでいたころに比べると、誰かと会食をしたり、飲み会に行く頻度は減りました。
そこに加えて、コロナがやってきて、飲み会に行く習慣が本当に減ってしまいました。
一人時間が苦にならない性質でしたので、気づけば内省の時間が増えました。
それはそれでいいのですが、やはり誰かと交流することは楽しいものです。
けれども、そうした飲み会や誰かと交流することのコスト?が、格段に上がってしまったことは、やはりデメリットといえるでしょうか。
けれども、コロナ禍を経たいま、多くの人が感じていることなのかもしれませんが。
ふたつ目は、甘いものの誘惑を覚えてしまったことでしょうか。
断酒をして、暴飲暴食がなくなって、睡眠の質も上がり、諸手を挙げて「健康になった!」と言えればいいのですが、これがまたそうでもないんですよね笑
お酒の代わりに、間食や甘いものに手を出してしまいました。
これも、ほどほどにしておけばいいのですが、なかなかやめられないものです笑
そして最後の三つめは、やはり美味しい料理と美味しいお酒のペアリングを楽しめないこと、でしょうか。
やはり、美味しい料理と、美味しいお酒の組み合わせは、素晴らしいものです。
それが楽しめないのは、寂しいなぁと感じたりもします。
ただ、それもまた人生の愉しみの一つで、選択の一つなんだろうな、とは感じます。
「このワインの味を知らないなんて、人生損してる」と同じように、「このバンドの音楽を知らないなんて、人生損してる」というのもあるわけで。
ただ、それを選ばなかった、というだけなのかもしれません。
総じて、メリットの方が多かった
とまあ、断酒にまつわるメリット、デメリットとありました。
ただ、総じて見ると、やはりメリットの方が大きかったのが、この4年間だったといえます。
やはり、睡眠の質と、自分の時間が増えたこと、それは限りなく大きなことだったように思います。
やめても、やめなくても大丈夫
断酒して、丸4年が過ぎて。
最近は、だいぶ「断酒」という感覚に対して、丸くなってきました。
「続けても、続けなくても、どちらでもいいかな」
そんな、ゆるい感覚があります。
どこか、お酒というものを手放したような、そんな関係なのかもしれません。
「これがないとダメ」というところからはじまり。
それがしんどくなると、「これをやめよう」としたりしますが、それは結局のところ、「これをやめないとダメ」という、
「これをやめよう」と、反対方向に振れ。
でもそれは、「これをやめないとダメ」と、逆に振れているだけで。
結局、どちらに執着するか、という違いなのかもしれません。
「手放す」、とは。
「あっても、なくても、どちらでも大丈夫。どちらでも幸せ」という状態を言うのでしょう。
お酒を飲んでも、飲まなくても。どちらでも幸せ。
そんな風にも感じるのです。
断酒の4年という時間は、実にいろんなことを教えてくれる時間でもありました。