心理学の洞察は、他人に向けるのではなく、自分自身と向き合うために使うものです。
そして、自分の心の癖に気づいたら、それを自分責めのネタにしないことが大切です。
1.誰かからの無関心で傷ついたときは
先日の記事では、誰かからの無関心で傷ついたときは、というテーマでお伝えしました。
誰かからの無視や無関心で傷ついたと感じるときは、自分が自分に対してそうしているとき。 - 大嵜直人のブログ
自分に対して、敬意や注目、注意を向けてもらえないことは、傷つくものです。
相手が自分にとって、大切な存在であればあるほど、その傾向は大きいものです。
「愛することの反対は、無関心」とは、よく言ったものだと思います。
そうしたとき、私たちの心は、相手ばかりを見てしまうものです。
「どうしたら、この人の関心を得られるだろう」
「どうして、もっと大事にしてくれないんだろう」
いろんな想いが、相手に向いてしまうものです。
しかし、そうしたときに、視線を自分に向けることの勧め、というのが先日のテーマでした。
もし、「そんな無関心な対応をするなんて、ひどい」と感じるときは、同じような対応を、自分が取っていないだろうか、という点です。
そう、世界にたった一人しかいない自分自身という存在に対して、自分が無関心でいるのかもしれません。
それは、自分の感情を無視したり、身体の声を聞かなかったり、自分のやりたいことをしていなかったり、必要以上に他人を優先して我慢を重ねていたり。
いろんな場面で、自分自身に対して無関心でいないでしょうか。
もし、誰かの無関心や無視に傷ついたと感じたときは、自分自身に対してのふるまいを、振り返ってみるタイミングなのかもしれません。
2.心理学の洞察を向ける先
先日の記事でも書きましたが、私が心理学を学び始めたとき、深く心に刻んだ言葉があります。
「心理学の知識を、他人に対して使っても、うまくいかない。しかし、それを自分自身と向き合うことに使うと、その知識は黄金のように貴重なものになる」
私自身もそうでしたが、心理学を学ぼうとするとき、それは何がしかの生きづらさを何とかしたいという想いからの場合が、多いのではないでしょうか。
そして、その多くは他人との関係性をどうにかしたい、という願いではないでしょうか。
相手との関係性をよくしたい、相手の気持ちを理解したい。
そういった想い、願いを持つことは、自然なことだと思います。
そして、心理学を学んでいくと、「あぁ、そうだったのか」と腑に落ちることが多々あることかと思います。
それを、自分以外の誰かの心の内面にしても、同じです。
しかし、これはとても危険なことだと思うのです。
「あの人は、こういう心理があって、だからこんな問題を起こして…」と、勝手に他人の心の内を想像するのは、とても危険です。
それがパートナーだろうと、友人だろうと、同僚だろうと、テレビやSNSに出てくる有名人だろうと。
それは、その本人が望まなければ、それをすることに意味がないし、むしろ、決してはならない。
その見立てが正しかろうと、間違っていようと、そんなことはあんまり意味がないんですよね。
心理学の洞察を向ける先を、間違ってはいけない。
常にそれは、自分自身に向けるべきものである、と。
もし、どうしても他人の心理が気になるのだとしたら、「どうして『私は』、そんなにもパートナーの心理を知りたがるのだろう」と、ベクトルを向ける先を変えることを意識してみるといいと思います。
先日ご紹介した、「主語を『わたし』にする意識」と同じですよね。
3.気づいたら、それで終わり
心理学の洞察は、他人に向けるのではなく、自分と向き合うために使うもの。
そして、自分自身に向けていると、なにがしかの自分の心の癖が見えてきたりします。
心の癖、あるいは観念、ビリーフ、パターンなんかと呼ばれたりもしますよね。
カウンセリングのなかでも、よく出てくるテーマです。
「自分の言いたいことを、我慢してしまう癖がある」
「ほんとうに欲しいものではなく、二番目を選んでしまう」
「自分の価値をいつも安く見積もってしまう」
「いつも自分を犠牲にしてしまう」
誰しもが、いろんな心の癖を持っているものです。
これは、無意識的なフィルターともいえるので、なかなか自分では気づかないものです。
言ってみれば、「それに気づくこと自体が、素晴らしいこと」なわけです。
しかし、頑張り屋さんな人や、自責の念が強い方は、それを自分を責めるネタに使ってしまうことがあります。
「こんな観念を持っているから、わたしはダメなんだ」みたいに。
これは、まったく必要のない自己否定です。
繰り返しになりますが、自分の心のパターンや観念、癖といったものは、「それに気づくだけで素晴らしい」ことなのですから。
そもそもの目的が、生きづらさをなんとかしたい、というものだったのに、新たに自分を責めて、生きづらくすることは必要ないんです。
じゃあ、どうしたらいいの?となりますが、究極的に言ってしまえば、「気づいたら、それで終わり」です。
それを理由に自分を責めたり、それを無理に直そうとしなくても、いいと思うのです。
「それが、自分だから」
そう受け入れることができたとき、もともと問題になっていた生きづらさであったり、誰かとの関係性は、変化していくものです。
自分の扱い方が変わる分、そうしたことも変化せざるを得ない、といえるのでしょう。
自分の心の癖に気づいたら、それを使って自分を責めないこと。
気づいたそのままに、自分を受け入れることが、とても大切なことです。
今日は、自分の心の癖に気づいたら、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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