「許し」のプロセスの一部である「感情的理解」。
その理解ができると、ものごとの見方をポジティブに変えていくことができます。
パートナーとの別れを例にして、そのプロセスを見ていきます。
１．「感情的理解」のプロセスとその恩恵
昨日の記事では、「感情的理解」のプロセスについて、お伝えしました。
「感情的理解」のプロセスと、その先にある感謝と恩恵。 - 大嵜直人のブログ
起こっているできごとや、相手に対してのアプローチの一つとして、「感情的理解」というものがあります。
これは文字通り、相手の感情面にフォーカスして理解をしていくという方法です。
私たちはどうしても、起こっているできごとや相手のことを、自分のなかの価値基準で判断してしまうものです。
「送ったメッセージに返信もしないなんて、あの人はおかしい」といったように。
この価値基準、判断のメガネをいったん外して、その相手が感じている感情に寄り添ってみるというのが、「感情的理解」の肝です。
そのためには、相手の置かれている状況や性格、あるいはパーソナリティといったものにも、想いを寄せる必要があります。
たとえば、その相手が以前に失恋したときに、「あなたの言葉は信用できない」と言われていたとしたら。
そして、その言葉で深く傷ついていたとしたら。
もしかしたら、一つの返信、一つのメッセージを送ることに、すごく臆病になっているのかもしれません。
もちろん、その相手のすべてを理解することはできないでしょうし、その見立てが間違っていることだって、あるかもしれません。
けれど、そのようにして相手やできごとを見ていくと、私たちがもともと持っていた価値判断とは、違う見方ができるようになります。
「もし同じ経験をしていたら、私も同じことをしていたかもしれないな」
「感情的理解」が進むと、そんな風に思える瞬間が訪れたりします。
そうすると、返信が無い相手に対して、不満をぶつけたり、自分の価値を疑ったりといったこと以外の選択が取れるようになるわけです。
信頼して待ってみたり、返信が無いことで感じた自分の気持ちを伝えたり、いろんな選択ができるようになります。
このように、「感情的理解」には非常に大きな恩恵があるものです。
２．そのままに受け入れる強さ
表現を変えると、「感情的理解」とは、できごとや相手をそのままに受け入れる強さといえます。
「そのままに」とは、自分の持っている価値観や常識、正誤善悪の判断を抜きにして、受け入れるという意味です。
「そうせざるを得なかった」という感覚でしょうか。
これ、恋愛の別れにたとえると、感覚的に近いように思うのです。
あるパートナーとの恋愛が終わりを迎えたとき。
フラれた方は無力感に苛まれ、別れを切り出した方は罪悪感を抱きます。
お互いに、何がしかの痛みを感じながら、それぞれの道を歩いていくことになります。
それが時間が経つと、
「あのときは、相手がおかしいと思っていたけれど、お互いさまだったよな」
「自分の方が至らなかったと、自分を責めてばかりいたけれど、あのときは自分なりに精一杯愛したんだよな」
と、その別れに対しての見方が変わっていくのでしょう。
別れの痛みが癒された、と見ることもできますが、起こったできごと（別れ）をそのままに受け入れることができるようになった、とも言えます。
あのときの自分は、ああする他になかったんだな。
相手もまた、そうするしかなかった。
自分も悪くないし、相手が悪いわけでもない。
ただ、お互いにとって必要だったから、あの時間があった。
そんな風に思えるようになっていくのでしょう。
その視点は、「感情的理解」に近いものです。
３．「許し」について
昨日の記事でも触れましたが、この「感情的理解」の先には、感謝と恩恵が待っています。
先ほどの例でいえば、出会いや過ごした時間に感謝できたり、あるいは相手の幸せを祈ったりすることができるようになったりします。
この一連の流れを指して、「許し」と呼んだりもします。
「許し」というと、言葉だけから見ると、相手の罪や過ちを免じてあげること、というニュアンスがありますが、心理学においては少し違います。
「許し」とは、相手やできごとを主体的に受け入れていくことを指します。
それは、相手のためにすることでもなく、自分自身のためにすることといえます。
そして、目の前の相手を許していくことで、最終的には自分自身を許すことができるようになります。
私たちが、最も許すことが難しいもの、それが自分自身だったりします。
「感情的理解」の先には、そんな「許し」の世界が広がっているようです。
今日は、「感情的理解」とは、できごとをそのままに受け入れる強さ、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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