大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「手放し」のプロセスでは、もの寂しさを感じるもの。

「手放し」が進んでいくと、もの寂しさを感じることがあります。

そうしたプロセスについて、少し詳しく見てみたいと思います。

1.「手放し」について

昨日の記事では、「手放し」をテーマにしてお伝えしました。

「手放し」とは、自分に自由を与え、相手の幸せを祈ること。 - 大嵜直人のブログ

私たちは、時に何かに執着してしまうものです。

別れたパートナー。

いま勤めている会社や仕事。

あるいは、お金。

はたまた、過去のよかった思い出なんかに執着することもありますよね。

そうした執着は、文字通り私たちを縛ってしまうものです。

その対象にぴったりとくっついて、なかなか離れない状態になってしまう。

それが、執着している状態です。

それゆえに、執着していると窮屈に感じるものですし、息苦しさを感じたりもします。

たとえるなら、毎日同じランチメニューを食べないといけないような状態といえるでしょうか。

「うぅ、また今日もカツ丼か…」というように。

選択肢がないことは、私たちの心にとって、実に大きな負担になるものです。

そうした執着から、自分自身に自由を与えるのが、「手放し」です。

イメージとしては、「好き」という気持ちを持ったまま、相手との距離を空ける、という心の動きになります。

距離を空けると、相手と疎遠になったり、親密感が感じられないように感じてしまうものですが、そうではないんですよね。

距離を空けて、自分にも相手にも自由を与えた上で、新しい関係性を築いていく。

「手放し」とは、そんなイメージのものです。

ただ、言葉にするのは簡単でも、実際にやろうとすると、「手放し」はなかなか難しいものです。

大好きだったのにフラれたパートナーへの執着を、「手放しましょう」と言われても、「わかりました!」とはならないものです。

それができるなら、誰も苦労しませんよね笑

「手放し」には、時間がかかるものです。

また一直線に進むのではなく、行っては戻り、戻ってはまた進み、というように紆余曲折を経ながら進むものです。

だから、焦らなくてもいいものですし、一人でやろうとしなくてもいいのだと思います。

2.執着とは「刺激物」

さて、「手放し」が難しい理由の一つに、執着の持つ性質があります。

執着とは、選択肢がない状態のことです。

その対象しか見えない距離まで、近づいている状態を指します。

ちなみに、自分だけがそうしている状態は「執着」であり、お互いがそうしている状態を「癒着」と呼んだりもします。

要は、ものすごーく距離を縮めるゆえに、その対象の一挙手一投足に、一喜一憂してしまうのが、執着の本質です。

たとえばその対象がお金だったら、それがほんの少しなくなっただけで、「大丈夫だろうか?」と心配になったり。

パートナーだったら、その相手の言動一つ一つを、もれなくチェックしてしまうように。

言ってみれば、執着している状態は、とても刺激的なわけです。

中日ドラゴンズに執着していると、「今日は勝つだろうか…?」と気になって仕方がないように笑

刺激物といえば、お酒やギャンブル、あるいはハードワークなんかもそうですが、そうしたものと同じように、刺激を与えてくれるのが執着といえます。

だから、「執着を手放そう!」としても、なかなかその刺激がなくなるのが怖くて、手放せなかったりします。

執着を手放すことが難しいのは、そんな理由があったりします。

それくらい、私たちにとって、刺激がなくなって退屈になる、というのはイヤなものなのかもしれません。

3.「手放し」が進むと、もの寂しくなるもの

「手放し」とは、この執着という刺激と、距離を空けることといえます。

実際に、「手放し」が進んでいくと、こんな心理状態になることがよくあります。

  • なんだか、もの寂しい
  • 毎日が手持ち無沙汰になった気がする
  • ぼんやりとしたまま、日々が過ぎていく

私自身も、過去に「手放し」が進んだとき、

「なんだか、毎日やることがなくて、ヒマだな」

「どこか、ものさびしいな…」

そんな風に感じたことを覚えています。

そうなんです。

ずっと執着していた分、そこに費やしてきた時間や気力、労力がぽかーんと空いてしまうんですよね。

私は、そうしたときに、

「え?こんなんじゃマズイ!何かしないと!」

と感じたものですが、そんなこと思わなくてもいいんですよね。

もの寂しく感じるのは、「手放し」が進んでいるから。

いままで執着で埋めていた場所が、ぽっかりと空いてきたからなのでしょう。

そこで、何かしようとしなくても大丈夫なんです。

「手放すと、新しいものが入ってくる」

そのような金言がある通り、手放して空いたスペースには、必ず新しい何かが流れ込んできます。

「手放し」のプロセスで、もの寂しさを感じたときは、「順調、順調!」と思って、そのままにしておくのがよいのでしょう。

今日は、「手放し」のプロセスで、もの寂しさを感じるのはなぜか、というテーマでお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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