大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「手放す」ために必要なのは、強固な意志というよりは、柳のようなしなやかさ。

「手放す」ときに必要なのは、絶対に曲げない強固な意志ではありません。

それよりも、柳のようなしなやかさで、選び続けることが、求められるものです。

1.執着を手放すためには

昨日の記事では、執着を手放すための3つのステップ、というテーマでお伝えしました。

執着を手放すための3つのステップ。 - 大嵜直人のブログ

何かに執着しているとき、私たちは自由を失い、閉塞感を覚えます。

どこにも行けないような窮屈な感じがして、生きづらさを感じたりもします。

そうした執着から自分を自由にしていくのが、「手放し」と呼ばれる心のありようで、カウンセリングでも中心的なテーマになることが多いものです。

執着の対象を忘れるでもなく、無理やりに執着を止めるのでもなく。

その相手やできごとに感謝しながら、そっと距離を空ける。

それが、「手放し」のイメージです。

昨日の記事では、そうした「手放し」に至るためのステップを、3つに分けてお伝えしました。

まずは、その執着している相手やできごとに対して、感じている感情を感じつくすこと。

悲しみや寂しさ、怒りや不満を吐き出し、癒すこと。

そうすることで、自分自身に目を向ける余裕をつくるわけです。

次に、「手放す」と決めること。

「手放さないといけないから」といったように思考的に決めるのではなく、自分の心で納得して決めることが、望ましいです。

そして3つめは、記念碑(モニュメント)をたてること。

手放したことの記念に、何か自分に与えること。

このプロセスのなかで、受けとった恩恵を、もう一度考えてみること。

昨日の記事では、そんな3つのステップをご紹介しました。

2.コミットメントに必要なものは「選択肢」

今日は、この3つのステップのなかの2つ目である、「決める」というプロセスについて、もう少し見ていきたいと思います。

これ、「手放し」に限ったことではなく、何かを決めたりするときに、非常に役に立つ視点です。

一般的に、何かを「決める」とき、決断力というか、固い意志が必要なように思われます。

断固たる意志というか、そういったものがないと、ダメのような。

それはそれで、一つの決め方ではありますが、心の世界から見ると、「決める」ときに必要なのは、必ずしもそういった形の意志ではありません。

むしろ、「こうしないと絶対にダメ」という決心は、何かの拍子に折れてしまうことがあるものです。

スポーツなどでも、身体に力が入って固くなると、動きが制限されて、なかなかいいパフォーマンスを出せなかったりしますよね。

それと、似たような感じかもしれません。

心理学では、決めることを「コミットメント」と呼んだりします。

覚悟とか、肚をくくるとか、決心する。

そういったニュアンスの心のありようが、「コミットメント」です。

「彼との結婚にコミットメントする」

「いまの仕事にコミットメントする」

といったような感じで使われます。

この「コミットメント」の心理で大切なのは、実は「選択肢があること」なんです。

「これしかない」「こうしないとダメ」といったような、固い決心では、ないんですよね。

「これしかない」というのは、ある意味で対象に執着している状態です。

それは、「手放し」を目標としているのに、また新しく執着の対象を生んでしまうことがあるものです。

いろんな選択肢が「ある」なかで、そのなかの一つを選ぶこと。

そして、選び「続ける」こと。

それが、「コミットメント」です。

「手放し」のステップのなかの2つ目の、「決める」ことも同じです。

手放してもいい。まだ執着してもいい。

そうしたなかで、「やっぱり私は手放したいな」と選ぶことが、大切です。

どちらでもいい、という許可を自分におろせたとき、私たちははじめて、自分の選択を選べるものです。

3.剛直さよりも、しなやかさを

「手放す」と決めること。

それに必要なのは、強固な意志というよりは、しなやかさです。

さしずめ、柳のような、あるいは、竹のような、しなやかさ。

「絶対にこうしないといけない」という決意は、強そうに見えますが、一度ストレスがかかると弱かったりします。

思うようにいかなかったり、執着がぶり返してきたり。

一度折れると、なかなか立て直せなかったりします。

一方で、「コミットメント」のように「決める」ことは、何度でもやり直せます。

何度でも選び直せる、とも表現できるでしょうか。

それは、嵐のような強風のなかでも、飄々と揺れる、柳のような強さといえます。

揺れてもいいんです。

戻ってもいいんです。

何度でも、選び直していいんです。

その選択肢を、自分に与えてあげること、与え続けることが大切です。

「手放し」に限らず、私たちが何かを決めるときには、そうしたしなやかな強さが求められるのでしょう。

そして、そのしなやかさというのは、感情が抑圧されていると、なかなか得られないものでもあります。

だから、「手放し」のステップの最初にくるのは、感情の解放なのです。

「手放し」に限らず、何かを決めるときのご参考になりましたら、幸いです。

今日は、「手放す」ために必要なのは、柳のようなしなやかさ、というテーマにしてお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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