「投影」は、心理学のなかでも最も重要な概念の一つです。
この「投影」の見方を使って、自分と向き合い、そして愛していくための視点をご紹介します。
1.目に映る現実から見えるもの
昨日の記事では、目に映る真実から見える、自分の本心、というテーマでお伝えしました。
目に映る現実から、自分の本心が見えてくる。 - 大嵜直人のブログ
私たちは、自分のやりたいことをやっているものです。
一見すると、自分のやりたいことではなかったとしても、心の内面をたどっていくと、自分が望んでいたことだったりします。
カウンセリングでも、「その状況が与えてくれるメリットは、なんだろうか?」とか、「その状況を選んでいることで、得られるものはなんだろう?」という見方をよくしたりします。
表面的には、そんなことを望んでるわけない!と感じるかもしれません。
けれど、心の内面というのは不思議で、一見すると相反するように見えても、視点を変えるとつじつまが合っていたりします。
お金がないことで、得られるもの。
パートナーをつくらないことで、得ているメリット。
時間がないくらいハードワークをすることで、得られるもの。
それは、なんだろう?と考えてみるわけです。
そして、それは自分が欲したものだとしたら。
そこに、自分の本心が眠っているのだとしたら。
少し、いまの自分の目に映るものが、変わっていくものです。
昨日の記事では、そんなテーマをお伝えしました。
2.「投影」の心理と3つのパターン
今日はもう少し、この「目に映る現実から見えてくるもの」というテーマを、深掘りしてみたいと思います。
カギになるのは、「投影」の心理です。
「投影」は、心理学のなかでも最も重要な概念の一つです。
人は、自分の心の内にあるものを、外の世界に映し出して(投影して)いるものです。
大きく分けて、3つの「投影」の形があります。
- 自分の感情を人や物に投影する
- 過去に出会った人を、いま目の前の人や物に投影する
- 自分の価値観や観念を、人や物に投影する
一つ目は、分かりやすいですよね。
とても悲しい気分のときは、何を見ても、その悲しい気持ちを投影してしまうものです。
あるいは、パートナーと幸せな時間を過ごしているときは、世界がすごく彩り豊かに見えたりもしますよね。
二つ目も、なんとなく想像がつくかと思います。
母親のイメージや、母親から受けた印象を、パートナーに映し出したり。
あるいは、仕事の上司に、父親を投影したりするパターンです。
これは、母親に対して「もっと私のことを構ってほしかった」という想いがあると、パートナーに対してそれをそのまま投影してしまったりします。
「あなたはちっとも、私に構ってくれない」とばかりに。
パートナーからすると、とばっちりもいいところで、関係性をおかしくする要因になってしまったりもします。
だって、相手にとっては「そんなん、知らんがな」と言いたくもなりますよね。
でも、相手も自分を見るときに、誰かを「投影」していることもあるわけですから、お互い様なわけですが笑
三つ目は、実に影響が大きいものです。
「人は、必ず裏切るもの」という観念を持っていれば、それを世界に映し出すわけです。
そうすると、一瞬たりとも気が抜けないですし、人を頼ることも難しくなりますよね。
けれど、こうした価値観や観念に、自分で気づくのは、実に難しいものだったりします。
3.「投影を取り戻す」プロセス
よく「投影」は、フィルターや色眼鏡に例えられます。
赤透明のフィルターをかけていれば、世界は赤く見えます。
それゆえ、なかなか「投影」していることに、気づきにくかったりもしますが、この「投影」を利用して、自分と向き合うこともできます。
「投影を取り戻す」と表現したりもしますが、目の前に現れた現実を、自分のものとして受け入れ、愛していくプロセスです。
「投影」の見方は、自分と向き合い、受け入れていくためのヒントにできるわけですが、それをご紹介していきたいと思います。
「投影」の考えを突き詰めていくと、自分の周りの問題は、私がつくりだしている、という見方ができます。
言ってみれば、「わたしは世界の創造主である」という見方ですね。
この見方を採用するならば、いま目の前に現れている現実は、私自身の「写し絵」であるわけです。
表面的には、それが自分が望んだものではないと見えたとしても、それを自分のなかにあるものとして受け入れていくことで、「投影」を取り戻していくことができます。
たとえば、一緒に仕事をしているメンバーに対して、「なんであんなに責任感がなくて、周りに頼ってばかりなんだ!」と怒りや憤りを感じたとします。
もちろん、そう感じるには何がしかの事情やできごとがあったのだとは思いますが、この視点を自分自身に向けてみることは、私たちの心の成長を大きく促してくれます。
私たちは、自分のなかに無いものは、外の世界に見ることができない、というのが「投影」の大原則です。
その大原則からすると、「責任感がなく」「周りに頼ってばかり」に見えるのは、自分自身にそういった面があり、その写し絵であるから、といえるわけです。
はい、イヤですねぇ…ほんと笑
でもね、ここで見つけた自分自身のかけらを、自分が受け入れ、愛していくことが求められるわけです。
目に映る相手は、もう一人の自分自身です。
その自分を、自分自身が受け入れることができたならば、
相手を想って仕事を任せて見守ることもできるでしょうし、
頼られてあげて仕事を一緒にすることもできるでしょうし、
相手のために手を貸さずに見守ることもできるのでしょう。
このように、「投影」の視点を使うことは、自分と向き合うための貴重なヒントを、与えてくれるものです。
今日は、「投影」を自分と向き合うためのヒントにする視点、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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