私たちは「問題」に出逢うと、それを解決する方法だけに意識が向いてしまうものです。
しかし「問題」とは、それを解決するためにあるのではなく、自分自身の価値に気づくためにあるものです。
1.周りの人の長所が教えてくれるもの
先日の記事では、周りの人の長所が教えてくれるもの、というテーマでお伝えしました。
周りの人が持っていると感じる長所は、そもそもあなた自身が持っているもの。 - 大嵜直人のブログ
自分のことは、自分が一番分かっていないものです。
そしてそれは、価値や長所、あるいは才能といった、自分自身のコアになる部分になればなるほど、顕著だったりします。
これ、「実はすごい才能を持っている主人公」といったような、少年マンガやライトノベルのオープニングみたいな話に聞こえるかもしれないのですが、実際にはそんなにキラキラしたものでもないんですよね。
いや、才能や価値自体は、もちろん素晴らしいものであり、周りの人からすると、とてもキラキラして見えるものです。
しかし、本人からすると、そうでもなかったりするのが、厄介なところだったりします。
たとえば、
人から愛される性質を持っている人が、自分は人から嫌われると思っていたり、
つながりをつくることができる温かい人が、自分は冷たい人間だと思っていたり、
あるいは、周りに影響を与えるカリスマ性を持っている人が、自分には孤独がふさわしいと思っていたり、するわけです。
それを、「あなたには、周りから愛される才能がありますよ」と言われたところで、それを「そうなの?やった!うれしい!!」とは、ならないわけです。
さしずめ、
「いやいや、いままで真逆の人生だったんですけれど?」
「え、人前に出るなんて、イヤだわぁ…」
「えぇ…それかぁ…別の才能がよかったな…」
みたいな反応になったりするわけです笑
これ、結構あるあるな話で、自分の価値や才能のコアな部分を伝えてもらったとき、人は「うれしい!」というよりも、どこか「あきらめ」のような、「ぐえ、それかぁ…」というような、そんな反応を示すことが多いのです。
私自身も、そうでした。
以前に、こんなふうに私自身の価値を伝えていただいたことがあります。
あなたは、人に安心と感動を与えることができる人。
その表現は、あらゆる人の奥深くまで届くメッセージを創作し続けるでしょう。
それは、あなたが深い悲しみや孤独を知っているから。
あなたの愛はとても感動的で、かつ強い喜びをもたらすだけの力があることを知っていたでしょうか。
私はこれを聞いて、「ふーん…」と、どこか他人事のように聞き流していたことを、よく覚えております笑
けれど、私をよく知っている人からすると、「なにをいまさら?」という感じらしいんですよね。
自分の価値や魅力、才能は、自分自身が一番疎い。
昨日の記事では、「投影」の視点から、自分自身の価値を知る方法をお伝えしました。
自分の周りの人の長所や魅力は、自分自身が持っているものである、というテーマでした。
2.「問題」への対処の仕方
この自分の価値や魅力、あるいは才能を考えるとき、「問題」から考えるという視点も、以前にご紹介しました。
自分の価値や才能を知るための2つの方法。 - 大嵜直人のブログ
自分が抱えてきた「問題」、頭を悩ませてきた「問題」。
それは、自分自身が何を大切にしているのか、そして、どんな価値や才能を持っているのかを教えてくれます。
家族の問題、パートナーシップの問題、仕事の問題…私たちは生きていく中で、さまざまな「問題」を抱えます。
しかし、何を「問題」とするかは、その人のパーソナリティ、人となりを浮き彫りにしてくれるものです。
家族との関係に悩んできた人は、誰かの居場所をつくることができる才能が、
孤独を抱えてきた人は、つながりをつくる才能が、
お金で悩んできた人は、大切な人に豊かさを与えられる才能が、
それぞれにあるからこそ、そうした「問題」に悩むのでしょう。
私たちがそうした「問題」に出逢うと、「どうやってそれを解決するか?」にばかり視線が向いてしまうものです。
しかし、「問題」を解決するためにあるもの、ととらえるよりも、自分自身の価値に気づくためにあるもの、という視点は、非常に大きな恩恵を与えてくれます。
「問題」とは、本来の自分と離れてしまった分だけ、大きくなるからです。
そしてその「問題」が、たとえ自分の望むように解決したとしても、また別の「問題」が出てきたりするものです。
「問題」が教えてくれるのは、
「ほんとのあなたって、どんな人なの?」
「どんな才能を持っている人なの?」
という問いかけであるともいえます。
決して、「どうやってこの問題を解くの?」という視点では、ないんですよね。
「どうやって解くか?」を考え始めると、結果を自分の思い通りにしたくなったり、誰かをコントロールしたくなったりして、決してロクなことがありません。
3.「問題」は自分の価値に気づくためにある
たとえば、本来は周りから支えられるリーダーの気質をもっている人がいたとします。
しかし、その人自身としては、「わたしは、リーダーではなく一兵卒」というセルフイメージを持っていたとします。
そうすると、いかにして「自分が」どれだけがんばるか、ということに重点を置いてしまうのでしょう。
考えてもみてください。
誰もがその資質を認める国王様が、ずっと畑を耕したり、収穫した野菜を洗っていたりしたら、周りの臣民はどう思うでしょうか。
もちろん、数日くらいは「現場視察は大事だよな」と思われるかもしれません。
けれども、ずーっとそれをしていたら、
「いやいや、あなたにはあなたにしかできない仕事が、あるでしょうよ」とか、
「畏れ多くて声もかけれないし、かえって効率落ちるよな…」とか、
そんな風に思われて、迷惑がられたりしていくことでしょう。
そこで、その人は悩むわけです。
「なぜ、こんなにも自分はがんばっているのに、周りから疎まれるのだろうか…悲しいな…寂しいな…」
自分の持っている資質や魅力、才能と、自分の評価にギャップがあると、そんな悲しいすれ違いが起きてしまったりします。
これ、笑い話でもなんでもなくて、実に多くの人が陥ってしまうものです。
さて、この人(国王様)が「問題」を解決しようとすると、どうなるでしょうか。
「まだ努力が足りないんだな、もっとがんばろう」とか、「もっと周りの人に好かれるように、コミュニケーションが必要なんだ」とか、そんな方向に向かうのでしょう。
それで、この人が抱えている「問題」が解決するかというと…なかなか難しいものがあると思いませんか?
それよりも、この人自身の持っている価値や魅力に気づき、それを受けとること。
それが、何よりも大切なことではないでしょうか。
そうすれば、自分が何をすべきか、自分が何に意識を向けるべきか、きっとわかってくるはずです。
私たちが生きる中で出逢う「問題」もまた、同じです。
どうしても、そうした「問題」に出逢うと、解決策を求めたくなってしまうものですが、それよりも、自分自身の価値に気づき、それを受けとることの方が大切なわけです。
「問題」は、あなた自身の真の価値や才能、魅力を問いかけてくれるものです。
あなたがずっと悩んできた「問題」もまた、同じです。
いま、あなたが頭を悩ませている「問題」もまた、そうです。
「あなたは、ほんとはどんな人なんでしょうか?」
「あなたは、どんな才能を持っているのでしょうか?」
今日は、「問題」とは自分の価値に気づくためにあるもの、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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