加害者と被害者は、立場を入れ替えながら癒着しやすいものです。
そんな負の連鎖の心理と、その抜け出し方について、お伝えします。
1.渇望と与える才能について
昨日の記事では、欲しくても与えてもらえなかったものは、あなたが与えられるもの、というテーマでお伝えしました。
欲しくても与えてもらえなかったものは、あなたが与えられるもの。 - 大嵜直人のブログ
普通に考えると、逆ですよね。
欲しかったものを、与えるなんて、おかしなことのように見えます。
けれど、心の内面を見ていくと、それが真実だったりします。
まず、何らかの「不足」を感じられることは、才能なわけです。
その足りないものの価値を知っているからこそ、そしてそれがあることの素晴らしさを知っているからこそ、それを渇望するわけです。
それは、安らげる居場所かもしれません。
愛情あふれた言葉かもしれません。
温かいご飯と、何気ない会話かもしれません。
それらに価値を感じていなければ、欲しがることもありません。
「中日ドラゴンズの優勝!」と聞いても、このブログを読んでいる大半の人が「ふーん…(スマホポチポチ…)」としか感じませんもんね。
それはちょっと違うかな笑
そして、その足りないと思うものは、自分が自分に与えられるものだったりします。
愛情あふれた言葉を渇望している人は、いつも自分に対して、厳しい言葉を投げかけているかもしれないように。
そしてそして、自分に与えられるということは、それを誰かに与えることだって、できるはずです。
それを与えたとき、私たちはとても満たされるものです。
欲しかったのに与えてもらえなかったものは、あなたが与えられるもの。
昨日の記事では、そんなテーマを詳しくお伝えしました。
こんな風に、心の世界を少し覗いてみると、そう見えることとは、反対のことが真実だった入りすることは、たくさんあるものです。
今日は、そんな似たような「心の世界のパラドックス」について、お伝えしてみたいと思います。
2.被害者と加害者、癒しが必要なのは
被害者と加害者、というテーマがあります。
傷ついた側が被害者、傷つけた側が加害者になりますよね。
たとえば、「パートナーにひどい暴言を吐かれて、傷ついた」というようなことがあれば、暴言を吐いた方が加害者、吐かれた方が被害者になるはずです。
このとき、一般的には被害者の方がかわいそうな立場であり、ケアが必要だと考えられるものです。
法律や社会規範から見ると、それは正しいのでしょう。
赤の他人に暴言を吐いたら、名誉棄損や侮辱罪といった罪に問われるかもしれませんし、傷ついた被害者は守られるべきものなのでしょう。
けれど、心の内面から見ると、また違った景色が見えてきます。
なぜ、パートナーに対してそんな暴言を吐いてしまうのでしょうか。
たとえば、よく晴れた新緑の季節の日曜日の朝、「あぁ、なんて気持ちがいい朝なんだ。幸せだなぁ。よーし、こんな日は、暴言でも吐いてやるか!」と思って、そうするのでしょうか。
なんか、書きながら想像してみたら、だいぶサイコパスな感じの人ですよね笑
そういう人も、もしかしたらいるのかもしれませんが、そうではない場合が多いのではないでしょうか。
深く傷ついていて、自分ではどうにもならないから。
暴言を吐く以外に、助けを求めることが、できないから。
手負いの獣のように、近づくものを威嚇してしまうほかないから。
もちろん、だからといって、暴言を吐いていいわけでもありませんし、それが認められるわけでもありません。
けれども、なぜ暴言を吐いてしまうのか?
なぜわざわざ心無い態度を取ってしまうのか?
なぜパートナーを傷つけるようなことをしてしまうのか?
それを考えると、癒しが必要なのは、被害者の側だけでもないように思うのです。
加害者の側こそ、癒しが必要なのかもしれません。
3.加害者と被害者、負の連鎖を止めるには
その視点がないと、加害者と被害者の負の連鎖を止めることはできません。
「あの人に、傷つけられた」
「あんなにひどいことを言われた」
「あの人のせいで、私はひどい目に遭った」
そう言って被害者が加害者を責めた瞬間に、その立場は入れ替わります。
被害者は加害者になり、加害者は被害者になります。
その負の連鎖は、永遠に続きます。
「なにも、そこまで言わなくても」
「そう言われるあなたにも、原因があるのでは」
「自分のことを棚に上げて」
被害者と加害者は、くるくるとその立場を入れ替えながら、お互いがお互いを傷つけあってしまいます。
その負の連鎖を止めるには、どちらかがその立場を降りることが必要になります。
被害者を、やめる。
なかなか難しいことでは、あるんですけれどね。
そのためには、先ほど見た、「なぜ、この人は暴言を吐かなくては、ならなかったのだろう」という視点が、はじまりの一歩になるのでしょう。
もちろん、「なぜ、被害を受けた側がそんなことしないといけないのか」とか、「傷ついたのはこっちなのに、損じゃないか」という想いが出てくるのも、当たり前だと思います。
けれど、その先には、悲しみの螺旋しかありません。
その螺旋を抜ける鍵は、いつも自分自身の心の内にあるのです。
今日は、加害者と被害者の心理的な負の連鎖と、その抜け出し方、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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