「存在自体に価値がある」と聞くと、妥協や甘えに聞こえてしまうことがありますが、そうではありません。
自分の価値を認めることは、どんな状況でも変わらない真実です。
1.「やり方」と「在り方」
昨日の記事では、「やり方」と「在り方」というテーマでお伝えしました。
たとえ、あなたが何かができなかったり、無かったり、成し遂げられなかったとしても。 - 大嵜直人のブログ
自分の価値を認めること、自分を受け入れること、自分を愛すること。
これらが大切なのはどこでも言われることですが、その基準には、二つの軸があります。
自分がしてきた行動やその結果と、自分自身の存在そのもの。
もちろんどちらも大切なのですが、私たちは前者の方に重きを置いてしまうことがあります。
「やり方」と「在り方」。
表現を変えれば、「行為」と「存在」や、「すること」と「あること」ともいえます。
あるいは、「目に見えるもの」と「目に見えないもの」と言ってもいいのでしょう。
どうしても、目に見えるものの方を大切にしてしまいがちですが、それだけでは世界は味気ないものです。
たとえば、スポーツの試合を観るにしても、目に映る結果だけを見てもいいのですが、そこにいたるまでの過程や、競技者の心理などを想像しながら観ると、さらに奥深く楽しめたりします。
少し話が逸れましたが、自分自身について考えるときに、この「在り方」の部分をどう扱うかは、とても重要になります。
そこにいるだけで、無限の価値があると考えるのか。
それとも、何かをしないと、成果や結果を出さないと、なんの価値も無いと考えるのか。
それによって、「やり方」や行動が変わってきます。
「やり方」も大事なのですが、そのベースになるのは「在り方」です。
まずは、自分自身がそこにいることの価値を受けとっていきましょう、というのが昨日のテーマでした。
2.それは、妥協や甘えじゃないのだろうか?
さて、こうしたテーマを聞くと、「いや、それは分かるんだけど…なんか妥協や甘えのように聞こえる」という方もいることでしょう。
今日は、その点について、少し考えてみたいと思います。
世の中には、一見どちらも正しいように見えて、正反対のことが言われていることがあります。
「自分の限界を超えて努力することの大切さ」と、「そんなにがんばらなくてもいい」とか。
「俺は俺の責務を全うする!」と、「逃げるは恥ではない」とか。
時代や社会のありようの移り変わりといってしまえば、それもあるのでしょう。
昭和のスポ根マンガとか、いまの世ではコンプラが許さないように。
けれど、そうした時代の変遷を抜いて考えたとしても、そのどちらにも真実はあるわけです。
鍛錬の大切さと、自分を知ることの重要さ。
責任感と、自分を守ること。
どちらかが完全に正しいというわけでもありません。
強いていうなら、その正しさは、その人が置かれた状況によって変わるだけのものなのでしょう。
「そのどちらかでないといけない!」と感じるときは、何か自分のなかでバランスを崩しているときなのかもしれません。
妥協や甘えも、それ自体はニュートラルであり、悪いことではありません。
ものごとを進めるためには妥協も時には必要ですし、甘えられることは強さでもあります。
甘えられる相手がいるってことですし、それを受け入れてくれると知っているわけですから。
不当に低い自己価値を埋めるために、そんなにがんばらなくてもいいんです。
けれども、残念ながらこの世は三次元で、私たちが思い描いたことを現実化するためには、何らかの努力や積み重ねが必要です。
たとえ音楽の天賦の才を与えられた人がいたとしても、練習時間ゼロでピアニストになれるわけではないように。
私の頭の中に書きたいことがあっても、こうしてキーボードを打たないと文字にはならないように。
3.どんな状況でも必要なこと
必要なものは、自分自身が置かれたタイミングや、その状況で変わります。
あなたはがんばってもいいし、がんばらなくてもいい。
ただ、そのどちらかしか選べないのであれば、それは不自由であり、不都合がいろいろ生じるわけです。
選択肢が「がんばる」以外に無いならば、いつか身体を壊してしまうかもしれません。
もしそうであれば、その選択肢を狭めているのには、何らかの心理的な抵抗があるのでしょう。
「がんばなくてはいけない」理由や、「がんばれない」理由が。
カウンセリングの恩恵の一つに、こうした理由を深掘りしていくことで、その選択肢を取り戻していけることがあります。
自分に最も大きな制限をかけているのは自分ですが、それはなかなか自分で気づくことは難しかったりしますから。
あなたはがんばってもいいし、がんばらなくてもいい。
責任を果たしてもいいし、逃げてもいい。
けれど、一つだけ、どのような状況においても必要なことがあります。
自分が存在していることの価値を受けとる、という点です。
今日の冒頭で申しあげた、「在り方」の部分ですね。
あなたが存在していること、その奇跡。
あなたがそこにいることで、誰かに与えられているものがあること。
いえ、ずっと与えてきた、ということ。
あなたそこにいることの、無限の価値。
それだけは、どのような状況でも、変わらずに必要です。
それを受け入れれれば受け入れるほど、周りの人も同じように見ることができますから。
あなたがいることの価値が無限であることは、常に変わらない真実です。
今日は、「ある」こと自体に価値があると考えるのは、妥協や甘えか?というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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